ウィシュマさん死亡問題、入管庁が報告書公表 職員の「誇張やアピール」疑う意識を問題視<動画あり>

2021年8月10日 21時36分
 名古屋市港区の名古屋出入国在留管理局で3月、収容中だったスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)=が亡くなった問題で、出入国在留管理庁は10日、名古屋入管の対応などを検証した最終調査報告書を公表した。職員による不適切な対応や医療体制の不備を認め、「危機意識に欠け、組織として事態を把握できていなかった」と指摘。情報共有の徹底や常勤医師の配置などの改善を求めた。

◆処遇と死亡の因果関係は触れず

 佐々木聖子長官は記者会見で「人の命を預かる行政機関としての緊張感や心の込め方が不十分だった」と述べ、当時の名古屋入管局長と次長を訓告、警備監理官ら2人を厳重注意処分にしたと明らかにした。入管庁は近く、遺族に限定し、ウィシュマさんの生前の様子を収めた監視カメラ映像を開示する。
 ウィシュマさんは昨年8月に収容され、今年3月6日に死亡した。最終報告では死因を「病死と考えられるが、複数の要因が影響した可能性があり、具体的な経過の特定は困難」と記した。収容中の処遇と死亡との因果関係には触れなかった。

◆職員のからかい「人権意識欠ける」

 名古屋入管の対応では、1月以降、嘔吐を繰り返して自力で歩けないほどに衰弱したウィシュマさんの訴えを、職員が「仮放免に向けた誇張やアピール」と受け止めた点を問題視。「誇張と疑ったとしても、医療的対応が必要な状況を見落とすことのないようにする必要があった」と不適切な対応を認めた。
 ウィシュマさんが点滴治療や外部病院での受診を繰り返し求めた際に、名古屋入管の職員が内規に反して上司に報告せず、現場レベルで判断していたことも判明。カフェオレをうまく飲み込めず鼻から噴き出したウィシュマさんに、職員が「鼻から牛乳や」とからかったことを「明らかに人権意識に欠ける不適切な発言」として、職員の意識改革の徹底を求めた。
 医療対応としては、非常勤医師が週2回、各2時間しか勤務しない名古屋入管の医療体制に問題があったとして、常勤医師の配置や休日対応など診療体制の強化を要請した。

◆仮放免認めなかった判断、不当とせず

 ウィシュマさんの仮放免を認めなかった名古屋入管の判断は「不当とまでは評価できない」とした一方、体調不良者の仮放免の運用は改善点があると述べた。
 調査は、入管庁が名古屋入管職員や診察した医師ら63人に聞き取りを行い、医療関係者ら有識者から意見を得てまとめた。
 この問題を巡っては、入管難民法改正案の国会審議で野党が死亡前の監視カメラ映像の開示を要求。拒否した政府が法案成立を断念した。

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