<新型コロナ>肺炎重症化 発見キット品薄 「感染の有無に使える」は誤解 高リスクの人、入手困難な恐れ

2020年5月2日 16時00分

指先だけで血液中の酸素濃度が測れ、重症化の早期発見に有効とされるパルスオキシメーター=東京都千代田区の呼吸器科で

 新型コロナウイルスに感染した患者の重症化を早期に発見できるとして、医療機器「パルスオキシメーター」を家庭で買い求める動きが強まっている。だが、中には感染の有無の判断に使えるとの誤解や感染への備えのため、症状のないうちから購入するケースも増えており、深刻な品薄状態になっている。このままでは重症化のリスクが高い人らが入手できなくなる事態も起こりかねない。 (編集委員・久原穏)
 専門家によると、新型コロナの特徴は、軽症とみられていた人でも「息苦しい」などの自覚症状がないまま数時間で重症化し、手遅れになるケースが少なくない。先月中旬、女優の岡江久美子さんや埼玉県で五十代と七十代の男性が、コロナに感染しているとの診断を受けて自宅療養中に急激に重症化して亡くなる例が相次いだ。
 このため重症化のサインを見逃さないことの重要性があらためて認識されている。パルスオキシメーターは、指先に装着するだけで血液中の酸素濃度を測り、肺炎の進行の早期発見に有効といわれる。
 軽症者は自宅やホテルで療養するが、医療従事者のケアが十分でない場合もあり「パルスオキシメーターで一日に二、三回測る。酸素濃度が下がったら、すぐにかかりつけ医に連絡する」(長野保健医療大の北村義浩特任教授)との対応例が示されている。
 家庭用の主な購入者はこれまで呼吸器疾患や心臓疾患を持つ人、高齢者の介護・看護、登山者らに限られていたが、コロナ禍で症状のない人までが買い求める動きが広がった。
 国内メーカーの医療機器の認証を受けた正規品は「家庭用で通常一万五千円から五万円程度」(日本精密機器)。しかし、品薄に伴って通販サイトでは倍以上に跳ね上がった例もある。都内にある総合病院の呼吸器科医は「真っ先に必要となる慢性呼吸疾患などリスクの高い人が機器を確保できなくなるおそれがある」と警鐘を鳴らした。
 厚生労働省は先月二十七日に、重症化の前兆となる「緊急性の高い症状」として「唇が紫色」「脈がとぶ」など十二例のチェックリストを公表した。だが、パルスオキシメーターによる測定とは対照的に極めて曖昧な判定方法だ。
 コニカミノルタなど国内メーカーには医療機関向けの供給要請が届いているがあるメーカーは「増産しても家庭向けが用意できるのは七月ごろが精いっぱい」と回答した。ここにきて認証を得ていない外国製品も四千円程度で多数出回り始めている。生命に直結する医療機器だけに、感染の第二波、第三波に備える意味でも異業種を含めた増産体制の構築が求められそうだ。
<パルスオキシメーター> 指先に装着するだけで血液中の酸素濃度を測ることができる医療機器。一般的には95~99%が正常値で、90%を下回ると肺炎の進行が疑われる。ただ、測定値の意味合いは持病などによって異なるため、医療従事者の判断が望ましい。
 4月18日に死去した青柳卓雄さんが発明。胃カメラと並び、日本発の医療技術の代表といわれ、救急現場での救命率向上や酸素過多による未熟児網膜症の防止、手術中の酸欠死抑止に貢献してきた。
 新型コロナウイルスで重症化の目安を判断する機器として注目されるが、感染を判断するものではない。

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