「入管、人権意識欠く」 当時の局長ら4人処分 ウィシュマさん死亡で最終報告書<動画あり>

2021年8月11日 06時00分
 名古屋市港区の名古屋出入国在留管理局で3月、収容中だったスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)=が亡くなった問題で、出入国在留管理庁は10日、名古屋入管の対応などを検証した最終調査報告書を公表した。職員による不適切な対応や医療体制の不備を認め、「危機意識に欠け、組織として事態を把握できていなかった」と指摘。情報共有の徹底や常勤医師の配置などの改善を求めた。
 入管庁は名古屋入管の佐野豪俊局長と当時の渡辺伸一次長を訓告、警備監理官ら2人を厳重注意処分にした。上川陽子法相は記者会見で「命を守るという基本を常に見つめ直していれば、一層寄り添った対応もあり得た」と述べ、謝罪した。
 ウィシュマさんは昨年8月に収容され、今年3月6日に死亡した。最終報告では死因を「病死と考えられるが、複数の要因が影響した可能性があり、具体的な経過の特定は困難」とした。処遇と死亡との因果関係には触れなかった。
 名古屋入管の対応では、1月以降、嘔吐を繰り返して自力で歩けないほどに衰弱したウィシュマさんの訴えを、職員が「仮放免に向けた誇張やアピール」と受け止めた点を問題視。「医療的対応が必要な状況を見落とすことのないようにする必要があった」と不適切な対応を認めた。
 ウィシュマさんが点滴や外部病院での受診を繰り返し求めた際に名古屋入管の職員が内規に反して上司に報告していなかったことや、死亡当日の朝に血圧と脈拍が測定できず異変があったのに、救急対応せずに放置していたことも判明。職員の介助中に「人権意識に欠ける発言」もあったとして、意識改革の徹底を求めた。
 また非常勤医師が週2回、各2時間しか勤務しない名古屋入管の医療体制に問題があったとして、常勤医師の配置や休日対応などの体制強化を要請した。
 ウィシュマさんの仮放免を認めなかった名古屋入管の判断は「不当とまでは評価できない」とした一方、体調不良者の仮放免の運用は改善点があると指摘した。
 入管庁は名古屋入管の対応の経緯や問題点について、職員や診察した医師ら63人に聞き取りを実施。医療関係者ら有識者から意見を得て、最終報告をまとめた。

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