<社説>IPCC報告書 温暖化は人が防ぐしか

2021年8月12日 07時19分
 地球温暖化は人間活動のせい−。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が、最新の研究成果に基づく地球温暖化の現状や予測を示す「第六次評価報告書」で、そう断定した。
 IPCCは、百九十五の国と地域の科学者らが参加する専門家集団。これまでにも温暖化に関するルール作りや国際交渉の科学的根拠となる報告書を公表してきた。
 今回の報告書は「人間活動の影響が大気、海洋、陸域を温暖化させていることは疑う余地がない」と断定。温暖化対策の国際ルール「パリ協定」は、世界の気温上昇を産業革命前の一・五度に抑える目標を掲げるが、このままでは今後二十年以内に一・五度に達してしまう恐れがあり、その結果、気象災害がさらに頻発すると、強く警鐘を鳴らしている。
 ギリシャの山火事=写真、AP・共同=やカナダの熱波、ドイツや中国の豪雨など、「記録的」と形容される異常気象が世界各地で相次いで、深刻な気象災害を引き起こし、多くの命が奪われている。国内でも毎年のように大規模な豪雨災害が起きている。「気候危機」は身近に迫った問題である。
 その上報告書によると、五十年に一度という熱波が発生する頻度は、すでに産業革命前の四・八倍になっていて、平均気温が一・五度上昇した場合には八・六倍、二度上昇では一三・九倍にも上ると試算する。十年に一度の豪雨の発生頻度も、それぞれ一・五倍と一・七倍に増えるという。人間が自らつくり出してしまった命にかかわる異常気象が、「日常」になってしまうということだ。
 今回の報告書は、十月末に英グラスゴーで開かれる気候変動枠組み条約第二十六回締約国会議(COP26)に少なからぬ影響を与える。温室効果ガスの削減により強く取り組み、その目標値をより早く、より高く、そして、ともに引き上げていかないと大変なことになるという、科学者からの緊急メッセージともいえる。
 地球温暖化が「人間活動の影響」によるものならば、その報いを受けるのも、回避できるのも、人間しかいないのだから。

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