<社説>ベラルーシ弾圧 ロシアの責任は重い

2021年8月13日 07時58分
 国民への弾圧は許し難い。旧ソ連のベラルーシでルカシェンコ大統領が政権に居座り恐怖支配を続けている。ルカシェンコ体制を支える隣国ロシアの責任は重い。
 一年前の大統領選での不正に怒った市民の反体制デモ=写真、タス・共同=を、ルカシェンコ氏は力で抑え込んだ。人権団体などによると、三万人以上が一時拘束され、今も六百人余が投獄されている。治安当局による拷問も横行しているという。
 東京五輪の陸上女子ベラルーシ代表選手は投獄を恐れてポーランドに亡命したが、母国に残る家族・親族の身の安全が気掛かりだと語った。
 二十七年にわたり独裁を続けるルカシェンコ氏が政権にしがみついているかぎり、国の将来はない。公正な出直し大統領選を通じて、正統性を持つ新政権を発足させる必要がある。
 民心が離れたルカシェンコ氏が権力を維持できているのは、ロシアの後ろ盾があるからだ。五月にベラルーシ上空を飛行中の民間旅客機をルカシェンコ政権が強制着陸させ、搭乗していた反体制ジャーナリストを拘束した際も、非難囂々(ごうごう)の欧米とは対照的にロシアは擁護に回った。
 欧米と対立してロシア傾斜を強めるルカシェンコ氏は、ベラルーシに親欧米政権が誕生するのを防ぎたいロシアにとって都合の良い存在である。ロシアとベラルーシは連合国家創設条約を結んでいるが、これではベラルーシがロシアの衛星国になりかねない情勢だ。
 半面、プーチン大統領はベラルーシ国民の反感を買うリスクを背負うことにもなった。本来、ベラルーシ人はロシアへの親近感が強い。昨年八月の大統領選で政権交代が実現していても、反ロ政権が出現するとは考えにくかった。
 それでも、市民の抗議行動で政権が倒れる事態をプーチン氏は許すわけにはいかないのだろう。
 長期的に見て、プーチン政権の姿勢は国益にかなわない。ベラルーシ情勢の正常化に向け、まずはルカシェンコ氏に弾圧をやめさせるためにロシアは影響力を使うべきである。

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