東京五輪の報奨金 同じ金メダルでも片や1億円、片や0円…金額まちまちなのはなぜ?

2021年8月13日 12時01分
 過去最多のメダルラッシュになった東京五輪。下世話になるが、メダリストがもらう報奨金も気になるところだ。1億円を受け取る選手がいる一方で、競技団体からは1円ももらえない選手がいる。主な競技の報奨金はいくらなのか。(古川雅和)

◆金・銀・銅の卓球伊藤選手は1800万円

 混合ダブルスで金メダル、女子団体で銀、女子シングルスで銅を取った女子卓球のエース、伊藤美誠選手。7日の会見で、目標の金メダル3つに届かなかった悔しさをにじませながらも「最後まで楽しく戦うことができた」と振り返った。

金銀銅のメダルを獲得した伊藤美誠=8月7日、東京都内の選手団会見場で

 伊藤選手が、日本オリンピック委員会(JOC)と日本卓球協会からもらう報奨金は計1800万円。その額は、競泳で2つの金メダルの大橋悠依選手、体操で金メダル2つと銀メダル1つの橋本大輝選手を上回る。金メダルの数が少ない伊藤選手の方が金額が多いのは、競技団体から出る報奨金に差があるからだ。
 JOCの報奨金は金メダリストに500万円、銀で200万円、銅なら100万円。団体競技は各選手に規定の金額が渡される。これに加え、多くの競技団体が報奨金を上乗せしている。

◆競技団体、スポンサーによりけり

 日本卓球協会は五輪の金ならシングルスで1000万円、ダブルスは1人500万円、団体で1人400万円を授与する。日本体操協会の報奨金は五輪の場合、金で50万円、銀が30万円、銅は20万円。日本水泳連盟は「報奨金はない」(担当者)。ちなみにJOCの報奨金は非課税で、加盟競技団体分もJOCと同額までは非課税になる。
 報奨金を出す競技団体は他にもある。女子が初の銀メダルをとった日本バスケットボール協会は金で500万円、銀300万円、銅100万円と規定。野球では日本野球機構などが出資するNPBエンタープライズから選手・監督らにJOCと同程度の報奨金が出る見込みだ。13年越しの2連覇を果たした女子ソフトボールでは、日本ソフトボール協会がJOCの報奨金のない監督やコーチらに出す。

◆新種目スケボ、お家芸・柔道は報奨金なし

 一方で、水泳以外にも報奨金のない団体がある。10、20代の選手が活躍したスケートボードは「初めての五輪なので報奨金の規定がない」(ワールドスケートジャパン)。全日本柔道連盟もない。
 男子エペ団体で金のフェンシングは、日本フェンシング協会が「報奨金は出さない」(事務局)とコメント。だが、エペ団体の見延和靖選手に1億円の報奨金というニュースが頭に浮かんだ人もいるだろう。これは、協会ではなく所属先企業のネクサス(群馬県高崎市)が贈るお金だ。

東京五輪の試合で雄たけびを上げる見延和靖選手。所属先から1億円の報奨金が出た=7月25日、幕張メッセで

 水泳の大橋選手にも、所属先のイトマンスイミングスクールが報奨金を出す。「金額は非公表」(広報課)。加えて約320人の社員にも1人10万円の臨時ボーナスを支給した。スクールにとって五輪の金メダルは「創業49年以来の悲願。社員全員がバックアップした結果」だという。

◆「夢」と「財源」の兼ね合い

 報奨金の狙いはもちろん選手を鼓舞すること。加えて、オリンピックに詳しいノンフィクション作家の松瀬学さんは「世の中にインパクトを与えるためでもある」と話す。その金額が「子どもたちの夢になり、競技人口を増やすことにつながる」からだ。
 では、なぜ金額に大きな開きがあるのか。スポーツジャーナリストの生島淳さんは「競技団体の財源しだいになっているため」と説明する。一方で「マイナー競技ほど金額が大きくなる傾向がある」(生島さん)とも。報奨金の額は「夢」「財源」の兼ね合いで決まるようだ。いくらくらいが妥当なのだろうか。生島さんでも「こればかりは難しい。正解だという金額は、ない」ということだった。

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