日航、再上場後 初の赤字 ANAも赤字転落

2020年5月1日 02時00分

羽田空港の駐機場に並ぶ旅客機=30日

 日本航空が三十日発表した二〇二〇年一~三月期連結決算の純損益は、前年同期の四百四十二億円の黒字から二百二十九億円の赤字に転落した。新型コロナウイルス感染拡大による国内外の旅客急減が直撃し、経営破綻を経て一二年に再上場して以降、初の四半期赤字となった。一~三月期は日航としのぎを削る大手ANAホールディングスも赤字に沈んだほか、航空機メーカーの業績も急下降しており、世界的な航空不況が鮮明になった。
 日航の一~三月期の売上高は21・3%減の二千八百三億円だった。航空会社は機材費や人件費の負担が重く、収入減は資金難に直結する。日航は金融機関からの借り入れや社債の発行などにより、一千億円規模の資金を確保したと三十日明らかにした。今後も資金調達に向け、金融機関との協議を続ける。日本政策投資銀行の危機対応融資の活用も検討する。
 通期決算となる二〇年三月期の売上高は、前期比5・1%減の一兆四千百十二億円、純損益は64・6%減となる五百三十四億円の黒字だった。二一年三月期業績予想は開示を見送った。新型コロナの影響を見極めることが難しいとしている。
 海外の航空大手では人員削減の動きが相次いでいるが、菊山英樹代表取締役専務執行役員はインターネットを通じた決算記者会見で「雇用を守ることが最大の原点だ」と述べ、削減に否定的な見方を示した。
 ANAが二十八日公表した一~三月期の純損益は、前年同期の三十九億円の黒字から五百八十七億円の赤字に転落し、四半期ベースで最大の赤字額となっていた。
 新型コロナの影響で米航空機大手ボーイングの一~三月期決算は、純損益が六億四千百万ドル(約六百八十億円)の赤字となった。欧州大手エアバスの一~三月期も四億八千百万ユーロ(約五百六十億円)の赤字で、苦しい局面が続きそうだ。

◆固定費の支出大きく 利用採算ラインも割る

 航空大手二社は二〇年一~三月期の純損益の赤字が日本航空で二百億円超、ANAホールディングスで五百億円超に膨らみました。両社は役員報酬の削減など経費カットにも取り組んでいますが、赤字がこれほど巨額になったのはなぜでしょう。経営は大丈夫でしょうか。
  (池井戸聡)
 Q 日航、ANAとも赤字幅が大きいですね。
 A 航空会社は、大幅には削減しにくい支出の割合が高いという特徴があります。このため、売り上げが落ち込むと利益も一気に減ってしまうのです。
 Q どんな支出が減らしづらいのですか。
 A 航空経営研究所(東京都府中市)によると、航空会社の支出は燃料費や空港使用料といった運航に欠かせない「運航費用」と、人件費など「その他」に分けられます。「運航費用」は運航量を抑える減便などである程度の削減が可能な一方、全体の約45%を占める人件費や作業施設の賃料を含む「その他」は、削減の余地が小さい固定費です。ANAは今後、グループ従業員の約九割に当たる約四万二千人を一時帰休(休職)とする方針ですが、人件費の削減効果は月十億円ほどです。
 Q 海外では航空会社が破綻していますね。
 A 豪航空二位のヴァージン・オーストラリアは四月二十一日、日本の民事再生法に当たる任意管理手続きに入ったと発表しました。エールフランスも経営が苦しく、フランス政府が七十億ユーロ(約八千百億円)を支援します。
 Q 国内二社は大丈夫ですか。
 A 両社は国際線で約九割、国内線で七~八割ほどを減便・運休しているにもかかわらず、三月の座席利用率は30%台にとどまり、採算ラインとされる50%に届きませんでした。それぞれ月数百億円規模で資金が流出しているようで、ANAは危機対応融資の制度を活用するなどして約九千五百億円を確保し、日航は一千億円超を調達しました。それでも事態の収束に時間がかかれば、一段と厳しい状況に追い込まれそうです。

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