首相の発信「ミスリード」、パラ開催は「無理」 東京都医師会・尾崎治夫会長

2021年8月14日 06時00分

五輪開催による新型コロナウィルスの感染状況について話す東京都医師会の尾崎治夫会長=東京都千代田区の東京都医師会で

 新型コロナウイルスの急激な感染拡大が続く中、東京都医師会の尾崎治夫会長(69)が本紙のインタビューに応じた。「医師会として病院、診療所が一丸となり、コロナ診療に全力であたっている」とした上で、政府のコロナ対策や国会での与野党の議論を「もっとやることがあるはずだ」と指摘。東京五輪が感染増に影響したとの見方を示し、24日に開幕するパラリンピックについては「このような感染状況では無理だと思う」と開催に疑問を呈した。(聞き手・松尾博史)
 ―東京五輪が感染拡大に与えた影響を、どのように見るか。
 直接的に感染を広げたり、日本の医療体制が逼迫ひっぱくしたりする原因にはならなかったようだ。ただ五輪は祭典なので、緩む方向に影響を与えたことは、否定はできない。間接的な感染者が増える原因にはなったと思う。
 ―都内の新規感染者数は、多い日には5000人に達している。
 やはり、従来株よりデルタ株は感染力が強い。専門家は感染者数の増加を予測していたのに、国が国民に対し、医療体制への影響などの注意喚起を十分にしていなかった。菅義偉首相は「感染者は増えているけれども、高齢者がワクチンを打ち終わりつつあるから、重症者は増えない。亡くなる人が増えなければ、いいんだ」というメッセージしか出さなかった。
 頭にくるのはミスリードして、これだけ感染者や重症者を増やしながら、感染者を減らす対策をとっていない。あきらめムードで「ワクチンをどんどん打ちましょう」しか言わない。
 ―何が政治に欠けているのか。
 感染拡大が始まって1年以上たつが、国は感染症と戦う体制をつくることができなかった。出口戦略を描くのは国の役割なのに、国民には「欲しがりません、勝つまでは」みたいな自粛要請をするだけ。国会も、どうすれば感染を抑えることができるか、人流を減らせるか、与野党含めてもっと真剣に議論するべきだ。
 東京などから対象外の地域に出掛ける人もおり、感染がどんどん広がっている。日本中に宣言を出し、人の流れを強力に防ぐ政策を打たないと、地方でもすぐに医療が駄目になる。
 ―パラリンピック開催の是非は。
 まだワクチンを打っていない人が結構いる。パラ大会時に、感染状況は五輪の時よりも恐らく悪くなっている。五輪でバブル方式をやっても結構な感染者が出ており、それがさらに増えるかもしれない。東京では入院が難しい状態。このような状況で開催は無理だと思う。政治が決めることだが、医療サイドとしては「難しい」と判断するのが妥当ではないか。

 おざき・はるお 1951年生まれ。東京都出身。順天堂大医学部卒。東久留米医師会長を経て2015年から現職。16年から日本医師会理事も務める。おざき内科循環器科クリニック院長。

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