<変わる大腸検査>(上) 下剤飲みやすく 味や量 種類が多様に

2021年8月17日 07時31分
 がんによる国内の死亡者数で2位を占める大腸がん。早期に発見すれば生存率は高いが、便潜血検査で陽性となった人の約3割は、大腸内視鏡検査などの精密検査を受けずにいる。内視鏡の場合、大量の下剤を飲む必要があること、肛門からカメラを入れるのが「痛い」「恥ずかしい」などが理由のよう。進化する薬剤や検査方法について2回に分けて紹介する。 (河野紀子)

肛門から挿入する内視鏡。先端に小型カメラが付いている=名古屋市で

 七月下旬、年間千件近い大腸内視鏡検査を実施するMIWA内科胃腸科CLINIC葵(名古屋市東区)。院長の芋瀬基明さん(56)は、先端に小型カメラが付いた直径一・三センチのチューブを、横たわる男性(40)の肛門から挿入した。
 モニターに映る画像を見ながら、ポリープやがんなどの病変がないかをじっくり観察。挿入から引き抜くまでは約十分だった。
 大腸内視鏡検査を受けるきっかけの多くは、便潜血検査だ。国は四十歳以上の男女に、年一回受けるよう推奨する。陽性は便に血液がまじった状態で、ポリープや大腸がんを疑う兆候の一つだが、日本対がん協会(東京)によると、二〇一七年度に精密検査が必要とされた人の三割は未受診。一方で、受けた人の約4%でがんが見つかった。
 大腸内視鏡は精密検査の中で最も精度が高いが、あらかじめ大量の腸管洗浄剤(下剤)を飲むのが嫌だという人は多い。芋瀬さんは「正確な検査には不可欠。最近は改良が進み、味や服用量の選択肢が増えた」と呼び掛ける=表。
 前日は専用の検査食などを取り、下剤を飲んで排せつを促す。当日は絶食。水を足して作る洗浄剤を飲み、残った便を押し出す。
 多くの医療機関で使われるのが「ニフレック」だ。体への急激な負担を避け、二リットルを二時間かけて飲む。味は食塩水のよう。胃や小腸でほとんど吸収されずに大腸に届き、排便を促す。
 これが「飲みにくい」として出たのが、かんきつ系の味の「モビプレップ」で量は一リットル。一時間かけて飲んだら〇・五リットルの水か茶を飲む。一六年には、前日夜、当日朝の二回に分けて〇・一五リットルずつを飲む「ピコプレップ」が登場。合わせて水やスポーツドリンクなど透明な飲み物を二リットル飲むが、服薬量は少なくて済む。液体が嫌なら、錠剤「ビジクリア」もある。
 飲んでいる途中から便意を催す。出にくいと洗浄剤の追加やかん腸も。数回〜十数回排便し、便に固形がまざらず、透明の液状になったら、やっと検査だ。「腸の中を空にしないと十分に観察できない」と芋瀬さんは言う。検査時は空気で腸管を膨らませ、ひだの裏にも目を配るが、便が残っていると病変を見逃す恐れがある。この日は終了まで半日。男性は「手間はかかったが、異常はなく安心できた」と話した。
 国立がん研究センター(東京)運営のがん情報サービスによると、一七年に大腸がんと診断された人は約十五万三千二百人と部位別トップ。一九年の死者は五万一千四百人で、肺がんに次いで多かった。芋瀬さんは「飲みやすい洗浄剤を選べば、検査のハードルは下がる。早期発見の機会を逃さないで」と訴える。
 (次回は二十四日掲載)

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