コロナ最前線の保健所に密着、映画「終わりの見えない闘い」 27日上映会

2021年8月18日 21時32分
 新型コロナウイルス感染症の対応に追われる東京都中野区保健所に1年近く密着したドキュメンタリー映画「終わりの見えない闘い」が完成し、27日に都内で上映会が開かれる。監督の宮崎信恵さん(79)は「想像を超えた現場の苦闘を知ってほしい」と訴える。

◆「自宅療養者を死亡させない」

 「とにかく自宅療養者を死亡させないことです」。向山晴子所長(当時)ら幹部が職員に呼び掛けた。感染拡大の「第3波」の真っただ中、年明け早々のミーティングの場面から映画は始まる。

映画の一場面。コロナ対応について話し合う中野保健所のスタッフ=ピース・クリエイト提供

 濃厚接触者の調査、自宅療養者の容体の確認、緊急入院先の調整…。多岐にわたる業務で所内の電話は鳴りやまない。
 対応は一筋縄ではいかない。「解雇されてしまうので職場には感染したことを報告できない」と言われて職員が困り果てる場面がある。「家でなければ眠れない」と入院を拒む人には「自分の枕を持って行っていいから入院して」と説得にあたる。

◆現場から「記録して」と相談されて

「保健所の実態を知ってほしい」と話す宮崎信恵監督=東京都中央区で

 福祉、差別問題をテーマにした作品で知られる宮崎さんは、現場の保健師や、業務に協力する帝京平成大ヒューマンケア学部の工藤恵子教授らから、自分たちの地道な仕事を記録してほしいと相談され、監督を引き受けた。撮影は初めての緊急事態宣言後の昨年6月にスタートした。
 事務所や自宅がある江東区から3日に1回のペースで通い、数百時間分の映像を収録した。「これほど長期にわたって保健所をカメラに収めた作品は例がない」と言う。資金はインターネットのクラウドファンディングや文化庁の補助金で賄った。

◆「政府の役人も見てほしい」

 宮崎さんは「保健所が減らされている。問題を知ってもらうため政府の役人にも見てほしい」と話す。タイトルは、取材中に職員が思わずつぶやいた言葉を使った。
 上映時間は1時間44分。27日の上映会は、JR中野駅近くの「なかのZERO」で午前10時半、午後2時半、午後6時の3回。1000円。要予約。9月2日、名古屋市で開かれる「あいち国際女性映画祭」でも上映。その後、各地のミニシアターなどでの公開を目指す。予約などの問い合わせは、宮崎さん=電090(8812)9300=へ。(井上靖史)

関連キーワード


おすすめ情報