横浜市長選、結果次第で政権左右 首相推進のIR、コロナで先行き不透明 市の誘致方針に影響も

2021年8月19日 06時00分
 22日投開票の横浜市長選では、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致が最大の争点となっている。IRは、菅義偉首相が官房長官時代から進めてきたインバウンド(訪日観光客)政策の一環。首相は横浜誘致取りやめを訴える候補者を支援する異例の構図だが、選挙の結果は横浜誘致だけでなく、秋にある自民党総裁選や首相の衆院解散戦略にも影響を与えるとみられる。(志村彰太、丸山耀平、村上一樹)

 ◆8人が立候補

 市長選には8人が立候補。自民党元衆院議員の小此木八郎氏(56)、元横浜市立大教授の山中竹春氏(48)=立憲民主党推薦、4選を目指す現職の林文子氏(75)の3人を軸に激しい選挙戦が繰り広げられている。
 「市民はIRが横浜に来ることに不安を感じている。環境が整っていない」
 小此木氏は街頭演説で、横浜誘致取りやめを訴える。だが、菅政権の閣僚としてIRを推進した側だっただけに、「選挙目的では」「当選後に態度を変えるかも」との疑念も。自民党の神奈川県議全員と横浜市議の8割強が小此木陣営に入り、誘致取りやめを「本気だ」と説明して回る。公明党も小此木氏を支援する。
 林氏は、IR誘致を求める地元経済界の一部から後押しを受け「私が立候補しないと、市民の選択肢が無くなる」と出馬した。8日の第一声では「国の戦略を自ら覆す。こんな不実があっていいのか」と自民と公明を批判。「義はわれにあり」とする自民市議の一部も支援する。IR誘致に反対する候補が多く反対票が分散するとみて、勝算はあると判断。自民支持層にはIR賛成派が多いとみて、切り崩しを図る。
 横浜が地元の首相は市長選の告示直前、地域情報誌の意見広告で小此木氏全面支援を表明した。新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、内閣支持率が過去最低を記録する中、小此木氏に厳しい結果が出れば、自民党内で首相への反発が強まるのは確実。首相が続投を目指す総裁選と衆院の任期満了を目前に、「小此木氏が負ければ政局に発展する」との見方が広がる。
 山中氏は、新型コロナの研究者であることもアピールし、陣営は「真のIR反対は山中だけ。コロナを収束できるのも山中だけだ」と訴え、政権批判票取り込みを図る。小此木陣営の地方議員からは「野党系の候補に負けると、衆院選でもドミノが起きかねない」と危ぶむ声も上がる。
 各陣営からは、当選に必要な有効投票総数の4分の1に誰も届かず、再選挙の可能性を指摘する声も上がる。

 ◆五輪後の青写真

 IRは、安倍政権が東京五輪・パラリンピック後の景気浮揚策と位置付けていた。外国人旅行客を呼び込んで消費や税収、雇用を増やすという青写真だ。
 だが、新型コロナの世界的流行で状況は一変。政府は2030年の訪日外国人旅行者数6000万人を目標とするが、コロナ禍が始まった20年は約412万人。感染拡大は止まらず、外国人旅行客が多く日本に来るような見通しは立たない。IRも政府想定の20年代後半の開業は不透明だ。
 政府はIRの場所を全国で最大3カ所と定め、10月~来年4月に自治体の申請を受け付ける。横浜市のほか、大阪府・市、和歌山県、長崎県の4地域がこれまでに誘致を表明している。
 東京に近い横浜は有力候補とみられてきたが、コロナ禍の影響で米ラスベガス・サンズなど海外大手が相次いで撤退。2つの事業者が資格審査を通過しているが、市長選の結果次第では、市の方針が転換する可能性もある。

PR情報

神奈川の新着

記事一覧