もはや「首都圏問題」ではない…40都道府県で感染爆発 ピークアウトの目処立たず

2021年8月20日 06時00分
 新型コロナウイルスの感染は「相変わらず首都圏問題だ」と政府分科会の尾身茂会長は発言したが、既に全国へと拡大している。緊急事態宣言は20日から13都府県に、まん延防止等重点措置は16道県に対象地域が拡大される。厚生労働省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード」は「全国各地で災害レベルの状況にある」と評価。感染拡大がいつ落ち着くのか、専門家も見通せなくなっている。(小坂井文彦、藤川大樹、篠ケ瀬祐司)

◆首都圏以外の9県で感染者倍増

 厚労省によると、人口10万人あたりの新規感染者数(直近1週間)は17日時点で、40都道府県でステージ4(感染爆発)の基準「25人」を超えた。10日時点よりも9県増えた。
 17日時点の全国の新規感染者数(直近1週間)は10日時点と比べると1.31倍。都道府県別では、岐阜県が2.88倍と大きく、青森、島根、山口、徳島、高知、佐賀、大分、鹿児島の8県も2倍以上。一方、首都圏の1都3県は1.14~1.29倍と全国平均を下回った。
 各地で医療提供体制は悪化している。厚労省によると、16日時点の確保病床使用率は、25都府県で50%を超過。病床逼迫で自宅療養者も増える。11日時点では、首都圏の1都3県が約4万8000人と多いのは確かだが、ほかの30道府県でも計約2万6000人になった。13県では自宅療養者はいない。

◆無症状者を把握できず感染拡大か

 東京都モニタリング会議の資料によると、7月下旬以降、1週間あたりの新規感染者数のうちの無症状者の割合は12~11%台だ。厚労省「診療の手引き」は無症状の感染者の割合を「30%前後」と推定。感染が把握されない無症状者が増え、普段通り生活して感染を広げている可能性が高い。
 都内のPCR検査の陽性率は8月上旬以降、連日20%超で、ステージ4基準の10%を上回る。尾身氏は18日の衆院内閣委員会閉会中審査で、陽性率や無症状者に触れ「検査の供給が間に合っていないのに加え、一部の人が積極的に受けようとしない。報告されているよりも、感染者はもう少し多いと思う」と警鐘を鳴らした。

◆若者ではなく中高年の外出も

 東京都医学総合研究所によると、緊急事態宣言の発令以降、都内の繁華街の人出は昼夜とも減少傾向が続く。ただ、宣言前からの減少率は夜間は35.8%、昼間は24.7%にとどまり、分科会が求める「50%減」に届いていない。
 若者の外出が感染拡大の要因だとの指摘もあるが、40~50代の人出も多い。都内の主な繁華街の夜間滞留人口を年代別にみると、午後6時~同10時は、40~64歳が15~39歳を上回る。午後10時~午前0時は逆転した。
 同研究所の西田淳志・社会健康医学研究センター長は「中高年が直帰せず、繁華街に寄っている。40~64歳は重症化が危ぐされ、深刻な問題だ」と改めて外出自粛を呼び掛けた。
 「第5波」はいつ山を越えるのか―。19日の参院内閣委で、そう問われた尾身氏は「ピークアウトを正確に予測することはできない」と答えた。

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