私はタリバン制圧下で学校に通えなかった…「次世代のため負けずに声を」 名古屋で暮らすアフガン女性

2021年8月20日 17時00分

「タリバンに負けたくない」と強調するアフガニスタン出身のロヤ・アジミさん=名古屋市内で

 イスラム主義組織タリバンが復権したアフガニスタン出身の元留学生ロヤ・アジミさん(27)=名古屋市=は幼いころ、タリバンの制圧下で学校に通えなかった時期がある。同国が民主化を目指した20年間に教育を受けた世代として「ここで声を上げなければタリバンの思い通りになってしまう」と話す。 (森若奈)
 タリバンの戦闘員による大統領府占拠の一報が流れた16日、故郷の首都カブールの街にタリバンの旗がはためく様子をインターネットで見て、涙が止まらなかった。
 「いくら言葉を重ねても、この悔しさを表現するのは難しい。この20年間、女性が自立できるように頑張ってきたことが全て無駄になった」
 2001年の米中枢同時テロの後、米軍の空爆が始まり、当時のタリバン政権が倒れた。近所の大人たちが「おめでとう」と祝い合っていた記憶がある。タリバンは女子教育を禁じ、ロヤさんも教育を受けていなかった。ようやく通えるようになった小学校の校舎は戦闘でぼろぼろになっていたが「文字を学べるし、友達もいる。毎日わくわくしていた」と振り返る。
 自身も同国で長く続いた政情不安の犠牲者だ。1歳のころ父親を内戦で亡くし、4歳の時に地雷の爆発で両足の指を失った。名古屋市のNPO法人の支援で05年に治療目的で初めて来日。14年に再来日し、高校に編入後、愛知県岡崎市の愛知学泉短大に進んだ。
 来日後に新聞やテレビで教育を受ける意義を積極的に語り、タリバンを批判したこともあったことから、16年に難民申請し、認定された。現在は市内で会社員として働きながら、故郷にいる親族や友人たちとやりとりを続けている。

19日、アフガニスタンの首都カブールで、タリバンの旗を掲げて市内を巡回するイスラム主義組織タリバンの戦闘員ら=AP

 タリバン復権後、現地の友人から「これが夢なら覚めてほしい」とメッセージが届く。友人には女性の権利のために活動する人も、政治家を目指す人もいた。「アフガニスタンの女性には、将来の夢やキャリアアップのプランがあったのに…」。タリバンは女性の就労や教育を認める方針を示しているが、「世界に認められるために言っているだけ。一切信じていない」と切り捨てる。
 祖国の親族に危険が及んではいけないという恐怖はあるが、「勇気を持ってしゃべりたい。そうでないと次の世代に『何もしなかった』とジャッジされてしまう」と語る。
 「ロヤ」は現地語で「夢」の意味。いつか、故郷の子どもたちの教育を支援するという夢がある。「タリバンに負けたら、この名前がもったいない。タリバンに負けたくない」。絞り出すように語った。

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