タリバンへの徹底抗戦呼び掛け アフガニスタン民主政権「暫定大統領」、英雄の息子と共闘

2021年8月20日 20時40分
 アフガニスタンでイスラム主義組織タリバンが新政権発足を急ぐ中、全土で唯一タリバンの支配が及んでいない北東部パンジシール州で抵抗の動きが出ている。瓦解した政府で第1副大統領だったアムルラ・サレー氏は同州の渓谷に逃れ、反タリバン勢力と合流。政府軍兵士らに抗戦継続を呼び掛けている。

◆反タリバン勢力と合流

 「まだ終わっていない」。ロイター通信などによると、「暫定大統領」を宣言したサレー氏は同州でアフマド・マスード氏と合流。同氏の父は旧ソ連侵攻の際にムジャヒディン(イスラム戦士)を率いて撃退、タリバンの旧支配時代には北部同盟の指揮官として抗戦し、「英雄」と称される故マスード司令官だ。サレー氏はマスード氏と同じタジク人で、パシュトゥン人を母体とするタリバンへの最強硬派とされる。
 ソーシャルメディアには、政府軍や軍閥幹部が参集したとの情報や、数千人の民兵が軍用車両で集結している映像が投稿された。サレー氏はツイッターに「われわれは米国や北大西洋条約機構(NATO)と違って魂を失っていない」と投稿。ただ、渓谷は急峻な地形で難攻不落とされる一方、物資の補給経路も限定的だ。マスード氏は米紙ワシントン・ポストへの寄稿で「正規軍も特殊部隊も加わったが不十分だ」と訴えた。

◆各地でデモ、タリバン側の銃撃で死者も

 首都カブールなど各都市でも英国からの独立記念日に当たる19日、若者らが黒赤緑のアフガンの三色旗を掲げて行進。強権支配の復活に反対する声が上がったが、タリバン戦闘員が威嚇発砲。東部クナール州では混乱で複数の死者が出た。18日には東部の都市ジャララバードで、白地のタリバン旗が政府庁舎に掲げられることに抗議したデモ隊が銃撃され、少なくとも3人が死亡した。
 タリバンへの抗議デモが起きる一方で、国民の間には厭戦気分が広がり、欧米など関係国が反タリバン勢力を支援する動きもないのが現状だ。抵抗拡大は見通せない。

◆ソーシャルメディアで「実態」拡散

 タリバンは実権掌握以降、融和路線のアピールに終始し、市民に国外に逃れないよう求めている。宗教指導者らに向けても、恐怖をあおる情報が拡散しないよう要請した。しかし、ソーシャルメディアでは重武装の戦闘員が市街地で威圧的に警備する姿が拡散。ロイターは真偽不明としながら「政府や米軍を支援した関係者の追跡が強化され、家族を含め逮捕されている」とのノルウェーの民間情報機関の報告を伝えた。(バンコク・岩崎健太朗)

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