「自宅療養」に尽きぬ懸念

2021年8月21日 07時14分

早産した赤ちゃんの死亡について説明する保健所の担当者=千葉県柏市で

 終戦の日を挟み、二週間ぶりの「ぎろんの森」です。この間、東京五輪やお盆休みが終わり、懸念の通り、新型コロナウイルスの新規感染者数は全国で増え続け、一日当たり二万五千人を超えました。感染力の強いデルタ株に置き換わったためとされます。
 心配なのは医療態勢の逼迫(ひっぱく)です。きょうの社説でも取り上げましたが、痛ましい出来事が起きました。新型コロナの軽症と診断され自宅療養中だった千葉県柏市の妊婦が早産となり、入院先が見つからないまま自宅で出産した赤ちゃんが亡くなったのです。
 東京都内では今月初めの一週間で、救急搬送を要請したうちの六割弱が搬送されませんでした。感染者の増加が続いて病床が逼迫し、受け入れ先の医療機関が見つからなかったりしたためです。
 二週間前の本欄は、政府が急きょ、重症化リスクが低いと判断された中等症患者を軽症者同様、自宅療養を原則としたことを批判しています。
 重症者用の病床確保のためとされていますが、容体の急変があり得るのが新型コロナです。実際に自宅で亡くなる事例が相次ぎ、懸念は現実になっています。もはや療養と呼べる状況ではありません。
 読者からは「医師の巡回診療もなく、何もできずに自宅で亡くなっている。『自宅療養』ではなく『自宅待機』という言い方に変えるべきだ」との意見も届いています。
 きのう緊急事態宣言は十三都府県に、まん延防止等重点措置も十六道県に対象が拡大されました。いずれも期間は九月十二日までです。
 とはいえ、菅義偉首相ら政府から感染抑止に本気で取り組む姿勢が伝わってこないのはなぜか。臨時国会を開かず議論から逃げたり、五輪やパラリンピックと感染拡大は無関係と強弁したりすることと無縁ではないでしょう。
 政府は緊急事態宣言の基準見直しも検討し始めました。基準の緩和と受け止められ、警戒が緩むことがないのか、心配は尽きません。 (と)

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