新型コロナ感染拡大で保育園の人繰り限界 ワクチン副反応・家族の濃厚接触…保育士不足に拍車

2021年8月23日 06時00分
 新型コロナウイルスの感染急拡大で、マスクなしの子どもと長時間接する保育士に、感染への不安や業務負担からの疲労が重くのしかかっている。保育園からクラスターが相次いで報告される一方で、同僚と日程が重なるのを避けるためワクチン接種さえ希望通りにならない保育士もいる。家族が濃厚接触者になって出勤できないなど、人手不足にも拍車が掛かる。(奥野斐)

おもちゃを一つ一つ消毒する保育士。感染拡大で業務が増えた=東京都内の保育園で(園長提供)

◆園長が現場出ようにも…区「いいとは言えない」

 「こんなに出勤できない保育士が重なるなんて」。東京都内の私立認可保育園の40代女性園長は8月上旬、職員からの休みの連絡に頭を抱えた。もともと夏休みの保育士がいたのに加え、ワクチンの副反応による発熱で1人が欠勤し、手術を控えた別の保育士も感染防止で外出制限に。子どもが濃厚接触者になり家で世話をしなければいけない保育士もいて、計4人が欠ける事態になった。
 保育士1人がみる子どもの人数は、国の最低基準でゼロ歳児は3人、1歳と2歳児なら6人などと定められている。園長は配置基準を満たすため、専任で置くことで運営費が助成される園長や主任保育士が一時的に早番や遅番に入ることが可能か、区の担当者に相談したが、「いいとは言えない」との答えだった。
 このため急きょ、子どもの世話を家族に代わってもらった保育士が出勤。幸いこの日は園児の休みも多く、最低基準の保育士はそろえられたが、「これが(園児が多い)9月だったら対応できない」と嘆く。
 内閣府によると、急に休んだ職員の代わりなど、やむを得ない場合は一時的に園長や主任保育士が保育に入ることも認められている。だが自治体によっては徹底されず、混乱が生じている。

◆感染防止強化「業務増え現場はやってられない」

 コロナ禍でおもちゃの消毒などの業務も増えた。1日2回、一つずつ消毒し、ドアノブや壁の消毒も回数を増やして念入りにしている。鼻水やせきが出ている子も登園してくる。園長は「保育士にワクチン接種もしてほしいが、人手がないのでなかなか進まない」と漏らす。
 厚生労働省は10日、保育園での感染防止策を強化する方針を決め、年内にも指針を策定するとした。園長は「感染対策は必要だが、これ以上業務が増えたら現場はやっていけない。離職者が増える」と懸念する。
 保育に詳しいジャーナリストの小林美希さんは「最低の人員配置のまま、運営費の抜本的な引き上げをせずにきた保育行政の悪影響が、自治体による見解の違いや人手不足などに出ている」と指摘する。
 規制緩和が人件費カットに利用され、保育士不足が常態化している園もあるという。小林さんは「保育士の配置基準を上げ、人を多く雇うことで評価される仕組みに変えないと、保育士の労働環境はますます悪化する」と改善を求めた。

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