<社説>東京パラ開幕へ 命と健康を最優先に

2021年8月23日 07時48分
 東京パラリンピック=写真はシンボルマーク=が二十四日に開幕する。首都圏は新型コロナウイルスの感染爆発に入り、五輪以上に慎重な運営が必要となる。命と健康を最優先に、選手らの感染対策を徹底し、学校と連携した児童生徒の観戦も中止すべきだ。
 大会には約百六十の国・地域から、肢体不自由や視覚障害、知的障害などの選手約四千四百人が参加する。力の限界に挑み、メッセージを発する十三日間は、「多様性と調和」という理念を実感する場となるだろう。
 ただ、感染状況は七月の五輪開幕時より深刻化している。一都三県の全会場で無観客となったが、必要最低限の措置にすぎない。
 パラ選手の中には、身体の障害とは別に基礎疾患を抱えている人もいる。年齢が高い選手もおり、重症化のリスクは増すはずだ。
 にもかかわらず、組織委から危機感は伝わってこない。
 五輪では五百人超の感染が判明。業務委託先の事業者が半数以上を占め、選手も約三十人いた。まず五輪の感染対策を検証し、「穴」を塞(ふさ)ぐことが先決だが、組織委には全ての感染経路を分析、公表する姿勢が見られない。
 パラ選手の特性に応じた対策も重要だ。介助する人員や補助器具など、感染源の可能性は広がる。医療逼迫(ひっぱく)で病床の確保が不透明な中、五輪で重症者が出なかったことに安住していては危うい。
 パラ大会は無観客にする一方、自治体や学校が希望すれば児童生徒の観戦は実施するという。五輪でも都内では行わなかった試みであり、ましてや実施の可否を教育現場や保護者に「丸投げ」している。無責任極まりない。
 感染力の強いデルタ株の広がりで、学校のクラブ活動や学習塾でクラスター(感染者集団)が確認されている。政府のコロナ感染症対策分科会の尾身茂会長も学校観戦に否定的な考えを示しており、専門家の意見に従うべきだ。
 選手の活躍はテレビで観戦し、共生社会に向けた教育は大会後にじっくり取り組めばいい。観戦がきっかけで感染が広がれば、取り返しがつかないことになる。

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