バイデン政権は同盟国を「見捨てた」と批判も…米中の緊張下で台湾にも疑念の声

2021年8月23日 20時36分
22日、アフガニスタンの現状について記者からの質問に答えるバイデン米大統領(AP)

22日、アフガニスタンの現状について記者からの質問に答えるバイデン米大統領(AP)

【ワシントン=金杉貴雄】バイデン米政権がアフガニスタンから駐留米軍撤退を進める中、イスラム主義組織タリバンが一気に復権したことで、同盟国の間で米国に対する信頼が失墜したとの懸念の声が出ている。米政権は、中国が圧迫を強める台湾を巡る問題などに影響が及ばないよう反論に必死だが、同盟国の防衛などに関する負の印象を払拭ふっしょくするのは容易ではない。

◆バイデン氏は撤退を公約に掲げた

 バイデン大統領にとって米軍撤退は、20年におよぶ「戦争を終わらせる」とした選挙中からの公約で、世論調査でも米国民の7割が撤退を支持。ただ、過去の米政権はタリバンやテロ組織復活を恐れ、実際の撤退を躊躇ちゅうちょしてきたのに対し、バイデン氏は今年4月、米中枢同時テロから丸20年となる9月までに、いかなる状況でも撤退すると決定した。
 米軍が撤退すればタリバンの攻勢でアフガン政府が崩壊する可能性はもともと指摘されていた。それでも撤退を急いだため、長年協力してきた同盟国を米国が「見捨てた」との批判が出ている。
 バイデン氏は、アフガン政府が短期間で崩壊したことについて「(アフガン軍が)自ら戦わない戦争で米軍が戦ったり、死んだりすることはできない」と、アフガン軍や政府に批判的な主張をした。
 これに対し、英国のタジェンダット下院外交委員長は「共に戦ったアフガンの男たちを『逃げた』と言う姿勢は恥ずべきことだ」とバイデン氏を批判。過去にアフガン軍・警察の死者は米軍の30倍近くとされ、米軍関係者からも「米軍が助けないと分かったからアフガン軍は戦わなかったのだ」との指摘も出ている。

◆同盟、友好国に不安

 このアフガンの状況を受け、米国は同盟国や友好国を守らないのではないかとの疑念が内外から浮上。特に、米中の緊張が高まる中、バイデン政権が強い支持を繰り返し表明する台湾について、仮に中国が侵攻しても見捨てるのではないかとの声が上がっている。
 不安を打ち消そうとバイデン氏は躍起で、米テレビのインタビューでは「北大西洋条約機構(NATO)の同盟国が攻撃されれば、われわれは(集団防衛を定めた)条約第五条で反撃する」と強調。「日本とも同じ、韓国とも同じ、台湾とも同様だ」と語った。
 だが、米歴代政権は台湾有事の対応に関する明言を避ける「あいまい戦略」を維持してきており、バイデン氏の発言はこれを逸脱するもので、米高官が後に「米国の台湾政策に変更はない」と声明を出し、発言の修正を余儀なくされた。

関連キーワード


おすすめ情報

ウオッチ・バイデン政権の新着

記事一覧