パラリンピック招致8年、競技面・施設面ではバリアフリー推進も社会の「壁」は…

2021年8月24日 06時00分
東京パラリンピック聖火の集火式で聖火皿に点火した(左から)野村忠宏さん、田口亜希さん、石原さとみさん=8月20日、東京都港区の迎賓館赤坂離宮で

東京パラリンピック聖火の集火式で聖火皿に点火した(左から)野村忠宏さん、田口亜希さん、石原さとみさん=8月20日、東京都港区の迎賓館赤坂離宮で

 共生社会の推進が期待される東京パラリンピックが24日に開幕する。2013年の招致決定以降、官民両面の支援で、選手の競技環境は飛躍的に向上。公共施設や交通機関ではバリアフリー化が進んだ。一方で障害者が直面する社会の「壁」は依然として高く、大会後も継続した取り組みが必要になる。(原田遼)

◆「パラの成功なくして東京大会の成功なし」

 東京都や組織委員会は「パラリンピックの成功なくして、五輪を含めた東京大会の成功なし」を合言葉に環境整備を進めた。
 競技面では14年に障害者スポーツの所管が厚生労働省から文部科学省に移管。選手への科学的なサポートスタッフやナショナルトレーニングセンターを五輪競技と同様に使えるようになるなど、支援が充実した。
 民間でも日本財団がパラ専用の体育館を造ったり競技団体や選手のスポンサーにつくなど「パラバブル」と称される現象も起きた。

◆競技場、ホテルや駅もバリアフリー化進む

 パラリンピック競技会場は既存施設の改修も含めて、観客席だけでなく、通路の幅やスロープ、手すりの設置など障害者に配慮したつくりとなった。
 国際パラリンピック委員会のパーソンズ会長は、「東京大会はすでに日本にレガシーを残している。多くの場所でアクセシビリティー(利便性)が改善された」と街の変化も評価する。
 国、都は法整備や補助金活用を通じて、事業者にバリアフリー化を促した。新増設するホテルは客室の1%を車いす使用者用にすることが義務付けられ、駅や公共施設ではエレベーター設置や段差解消も進んだ。車いすのまま乗れる「ユニバーサルデザイン(UD)タクシー」も当たり前に見られるようになった。

◆体力、金銭、心…「障害」はまだ

 ただ社会にある「障害」は完全に消えていない。スポーツ庁は17年から5年計画で「障害者の週1回以上のスポーツ実施率を40%程度とする」と目標を掲げたが、20年度の調査でその実施率は24.9%にとどまった。
 「体力がない」「金銭的余裕がない」などが理由だった。
 UDタクシーでは車いす利用者への乗車拒否や追加料金の請求が全国で相次ぐ。また駅や商業施設でエレベーターや「バリアフリー(多機能)トイレ」を必要のない人が使い、障害者らが待たされるような場面も少なくない。
 組織委の橋本聖子会長は23日の記者会見で「心のバリアフリーは進んでいる。さらに大会が日本に何を残せるかを考え、あしたから9月5日の閉幕まで取り組みたい。大会の成功は社会を変革させることだ」と意気込んだ。

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