国と東京都、病床確保を初要請 拒否すれば名前公表も

2021年8月23日 22時07分
都内全ての医療機関に入院患者受け入れや人材派遣などの協力を求めた小池百合子東京都知事(左)と田村憲久厚労相(右)=23日、東京都千代田区の厚労省で

都内全ての医療機関に入院患者受け入れや人材派遣などの協力を求めた小池百合子東京都知事(左)と田村憲久厚労相(右)=23日、東京都千代田区の厚労省で

 新型コロナウイルス患者用の病床逼迫を受け、田村憲久厚生労働相と東京都の小池百合子知事は23日、東京都千代田区の厚労省で、都内の医療機関に対し、コロナ患者を最大限受け入れることを改正感染症法16条の2に基づき要請することを表明し、同日要請した。正当な理由なく要請に応じない場合は勧告し、従わなかった際は公表する。都と国が法に基づき要請するのは初めて。
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 小池知事は「デルタ株の猛威に総力戦で臨む必要がある。通常医療の制限なども視野に入れ、全ての病院、診療所、医療従事者にお願いしたい」と訴えた。
 都の現状の確保病床は5967床。23日時点の病床使用率は約68%だが、病院によっては通常診療への影響などから受け入れに慎重なケースがあり、都議会から疑問の声が出ていた。要請により受け入れを進め、さらに7000床を目安に確保病床の上積みを目指す。
 都によると、都内でコロナ患者を受け入れている病院と、回復期の患者を受け入れている病院の計約400病院に、最大限の入院患者の受け入れを求めた。このほか受け入れていない約250病院を含め、看護師や医師を宿泊療養施設などに派遣するよう要請した。
 約1万3500の診療所にも在宅医療や検査、診断、ワクチン接種などへの協力を要請。今月31日までに回答を求めている。(土門哲雄)

◆拒否なら勧告・公表も

 新型コロナウイルス患者の病床確保と患者受け入れを巡り、国が23日、改正感染症法に基づく要請を東京都の医療機関に初めて出したのは、緊急事態宣言発令から1カ月以上たっても重症者数は減らず、都の現在の対策では不十分と判断したためだ。国立の医療機関などからさらなる協力を引き出すため、都と足並みをそろえて強制力を伴う措置に踏み切った。
 2月に成立した改正感染症法は、都道府県知事らが医療機関にコロナ対応を要請できると明記。正当な理由なく従わない時はもう一段強い働き掛けの「勧告」を行い、医療機関が拒否すれば、名前を公表できるようにした。
 だが、「正当な理由」の定義は不明確で、人手や設備の不足、通常診療への影響があると答えれば拒否できる。これまで要請を行った大阪府や静岡県など5自治体も医療機関への勧告や名前の公表はしていない。
 軽症・中等症の訪問診療をしている新宿ヒロクリニック(新宿区)の英裕雄院長は「午前中に退院・転院で病床が空いても、昼すぎには埋まるため、夜間に急変した人の搬送先探しが特に難航している」と危機感を強調。厚労省幹部は「多くの病院でコロナ医療に携わる医師、看護師が足りていないのに人材を確保できるのか」と指摘し、容易ではないとの見方を示した。(大野暢子)

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