<変わる大腸検査>(下)痛くない新技術 カプセル型やCTも

2021年8月24日 07時16分

大腸検査用のカプセル内視鏡。中の超小型カメラが体内を撮影する=愛知県豊明市で

 男性(46)の手のひらにのせられたのは、中に超小型カメラが入った幅一センチ、長さ三センチのカプセル。水と一緒に飲み込んだら精密検査のスタートだ。四月下旬、愛知県豊明市の藤田医科大病院。カプセルが体内をスムーズに流れるよう、男性は院内を歩き始めた。
 カプセル内視鏡は約二時間で大腸に到達。腸管内部で一秒間に四〜三十五枚の写真を撮り、腰に着けた記録装置に送る。横たわって肛門からカメラ付きチューブを挿入する一般的な大腸内視鏡検査と違い、恥ずかしさや苦痛がないのが特徴。約七時間後、下剤を飲んで、便とともにカプセルを出した男性は「全然痛くなかった」と満足そうだ。
 同大病院は二〇〇七年から、カプセル内視鏡による検査を取り入れている。小腸に続き、便潜血検査で精密検査が必要とされた人、血便などの症状がある人に対し、カプセルを使った大腸検査が保険適用になったのは一四年だ。ただ、腸管に癒着があるなどの理由でチューブの挿入が難しいというのが条件だった。
 緩和されたのは二〇年四月。高度肥満かつ高血圧症などの持病があって従来の内視鏡では負担が大きい人、大腸が長く、かつ便秘でチューブを奥に進めにくい人にも適用が広がった。日本カプセル内視鏡学会によると、便潜血検査の結果、精密検査が必要な人の約3%、年間一万人前後が対象になると推計される。便秘だった男性は、検査で大腸が通常より長いことが分かり、保険が適用された。同学会理事で消化器内科が専門の同大先端光学診療学主任教授の大宮直木さん(57)は「飲むだけなので負担が少ない」と言う。
 一方、三割負担でも検査費用は三万円と、大腸内視鏡検査の約六倍だ。一人当たり三万〜十万枚の写真を読影する医師の負担は大きく、大腸の形状によっては途中までしかデータが取れない例も。通過に時間がかかると、電池が切れるためだ。国内で唯一、大腸カプセル内視鏡を製造販売する「コヴィディエンジャパン」(東京)によると、大腸用は国内約三百施設で使われているが、保険を使っての実施件数は一八年度、約八百件にとどまる。
 検査の苦痛を改善する動きは徐々に進む。一二年には大腸コンピューター断層撮影(CT)が保険適用になった。肛門から炭酸ガスを入れて腸管を膨らませ、あおむけとうつぶせの二回撮影すれば終了だ。
 事前に大量の腸管洗浄剤(下剤)を飲んで腸を空にすることは共通するが「検査には、それぞれ特徴や課題がある」と大宮さん。一般的な大腸内視鏡検査と違い、カプセル、大腸CTとも、ポリープや病変を見つけても、その場で組織を採って検査することはできない。エックス線を使うCTは超低線量だが放射線被ばくがあるほか、六ミリ以下のポリープや平たい病変は見落とす恐れがある。大腸内視鏡検査では苦痛を和らげる鎮静剤を点滴する施設も増えているが、血圧が下がる、呼吸が浅くなることがあり慎重な投与が必要だ。
 病気を見つけるためでもつらい検査を嫌がる人は多い。大宮さんは「負担が少ないことは精密検査の受診を促し、大腸がんの死亡率を下げることにつながる」と話す。 (河野紀子)

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