「1年以上たっても慣れない…」課題山積のオンライン教育<茨城県知事選 コロナ禍の現場から>(2)

2021年8月24日 07時30分

オンライン授業の準備に余念がない荒川智教授=水戸市で

■週1回

 「思い描いていたキャンパスライフと違う」。茨城大教育学部二年の阪井葉月さん(20)はため息をつく。
 昨年春の入学時から新型コロナウイルス禍に翻弄(ほんろう)された。一カ月遅れでスタートした前期授業はすべてオンライン化され、千葉県の自宅でパソコンと向き合う日々が続いた。後期は一部のカリキュラムで対面授業が再開されたものの、「大学に行くのは週一日くらいだった」。
 二年生になっても状況はほとんど変わらず、実習科目や自主ゼミの読書会以外はオンラインで実施され、大学に足を運ぶのは週二日。「オンラインではコミュニケーションが取りにくく、一年以上たっても慣れない。もっと対面授業を増やしてほしい」と訴える。
 学生たちの不満は、教える側にも伝わっている。茨城大教育学部長の荒川智教授(64)は「『大学生らしい生活を送っていない』と話す学生もいる。正常に近い状態で授業をしたいが、まだまだ厳しい状況が続いている」と苦しい胸の内を明かす。

■一斉休校

 コロナ禍に伴う行動規制や自粛は学校現場から始まった。昨年二月末に安倍晋三首相(当時)が全国一斉休校を宣言し、県は県立学校の臨時休校を決定。市町村立の小中学校も相次いで休校し、多くの大学でもキャンパスから学生が消えた。県立高校や小中学校などの休校は六月まで断続的に続いた。
 その後、大規模な休校措置はとられていないが、現在の感染爆発が収まらなければ、再び小中学校が休校に追い込まれ、オンラインを活用する場面が多くなるかもしれない。
 実際、小中高レベルでもオンライン学習の環境整備が進んでいる。国が推進する学校教育のデジタル化「GIGA(ギガ)スクール構想」の下、県内の小中学校にも今春、「一人一台」のパソコンやタブレット端末が配備された。県立高校でも、来月からタブレット端末などを使った授業が本格化する。

■重い負担

 家庭には重い負担がのしかかる。県立高校では原則、端末などは各生徒が用意しなければならない。小中学校の場合、パソコンなどは貸与されるが、家庭のインターネット環境は自前で整備する必要がある。
 県教育委員会は、県立高校の生徒を抱える家庭に対しては、世帯収入に応じて端末の貸与または購入費用の一部を補助している。一方、市町村では、通信費用の補助などの支援策は一部に限られている。
 「学校現場」と言っても、設置・運営者は国、地方自治体、学校法人と多岐にわたるが、県内では、知事の判断が大きな流れをつくってきた。
 荒川教授は、知事選での活発な議論を期待する。「家で端末を使えなければ意味がなく、支援を徹底してほしい。オンライン授業を導入する際も、子どもたちへの精神的な影響を考慮し、可能な限り対面を取り入れてほしい」(松村真一郎)

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