1人1人違う姿から「多様性と調和」への汗 コロナ禍のパラリンピック 会場の声援なくとも

2021年8月25日 06時00分

東京パラリンピックの開会式で打ち上げられる花火

 多様性と調和。共生社会の実現。パラリンピックで掲げられる言葉はきれいごとにも聞こえる。けれど、大きなきっかけと繰り返すうたい文句がなければ、社会は動かず、世間の関心は集まらないのも現実だ。
 東京パラリンピックの会場が満員になる光景は、パラスポーツに関わる人たちの夢だった。大会に気軽に足を運んでくれる人はまだ少ない。新型コロナウイルス禍でなければ、観客から大声援を浴びる経験は選手たちの大きな励みになったはずだ。
 五輪の選手はスポーツに詳しくない人でも多くが知っている。23年前の長野冬季大会では、福祉からスポーツへとパラリンピックの見方が変わったといわれたが、その後、関心が続いたとはいえない。パラスポーツ界で知らぬ人がいない選手でも、一般的に知名度は低い。その世界はまだまだ狭いと感じる。

開会式で入場行進する各国選手団=24日夜、国立競技場で

 障害のある人が皆、超人的な身体能力があるわけではないし、スポーツをするのが難しい障害の人もいる。そもそも聴覚障害や精神障害はパラリンピックの出場対象外だ。1人1人は違い、その中にスポーツに秀でた人もいる。「障害者」とひとくくりにされがちな中で、見てほしいのはそんな当たり前の姿だ。
 社会を変えるきっかけはパラリンピックでなくてもいい。普段から真に共生社会への努力を皆が続けられるなら、コロナ禍で開く必要もないのだろう。けれども、社会はかえって分断が進む。だからこそ「多様性と調和」を本気で目指そうと汗を流す選手たちを、今は応援したいと思う。(神谷円香)

おすすめ情報

東京五輪・パラリンピックの新着

記事一覧