<社説>学校の感染対策 学びの機会奪わぬよう

2021年8月25日 08時11分
 各地で新学期が始まっている。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、夏休みを終えて登校する子どもたちの安全と、学びの機会確保を両立させるため、適切で柔軟な対応を求めたい。
 子どもたちを感染症からどう守るのか、教育現場はその対応に直面している。特に、感染力が強いデルタ株は、従来株に比べ、大人と同じように子どもたちにも感染しやすいとされる。既に、保育所ではクラスター(感染者集団)が発生しており、警戒は怠れない。
 昨年二月、感染拡大を防ぐためとして、安倍晋三前首相は全国の小中高校などに一斉に休校を要請した。唐突で感染症専門家の意見を聴かないままの決定だった。
 学校現場は従わざるを得ず、多くの学校が休校措置を取った。しかし、感染対策上、一斉休校が必要だったのか疑問は残る。
 突然の休校で、代わりの学ぶ手だてを十分に準備できなかった学校現場は苦悩した。休校中に子どもたちを受け入れた学童保育は感染対策に追われた。子どもがいる自宅を空けられず、就労継続が困難になる保護者も出た。一時的とはいえ、学ぶ権利を制限したことは見過ごせない。
 政府は今回、全国一斉の休校要請はしない考えだという。感染症への科学的知見は増えている。地域の感染状況を見極め、きめ細かい対策を徹底してとりたい。
 不織布マスク着用に手洗い、給食の黙食など従来の対策に加え、デルタ株の感染力の強さを考えると、換気が重要になる。
 子どもたちには可能な限り対面での授業=写真は5月、大阪市内で=を行いたいと考える教育現場は多いだろう。
 分散登校などの工夫をしつつ、オンライン授業を併用してはどうか。感染者が出た場合でも学級、学年単位の限定した閉鎖とするなど、学びの機会を確保したい。
 さらに、教職員に対するワクチン優先接種や、学校現場での検査の活用を検討してはどうか。
 いかなる状況下でも学びの機会を奪ってはならない。感染対策の徹底で子どもたちの不安を払いつつ、学ぶ喜びを伝えてほしい。

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