福島第一原発の汚染水を浄化した「処理水」沖合から海洋放出へ 海底トンネル、工期は不透明

2021年8月25日 21時09分
 東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)で発生する汚染水を浄化処理した後の水について、東電は25日、海底トンネルを設けて原発から約1キロほどの沖合に放出すると発表した。東電は敷地の海側にある既存の放出口から直接放出する案も検討したが、大規模な工事が必要な沖合からの放出を決めた。
 東電によると、海底の岩盤をくりぬいてトンネルを通し、約1キロ沖合の水深12メートルの海底から処理水を放出する。
 9月に海底の地盤調査を始め、政府や東電が目指す2023年春の放出開始に間に合わせる工程を描くが、この日の記者会見で東電の担当者は「地盤を調べないと、工事にどれくらいの時間がかかるか分からない」と説明。計画通りに進むかは不透明だ。

◆東電幹部「まず関係者の意見を聞く」

 政府は今年4月に処理水を海洋放出する方針を決めた後、自治体や漁業、観光業などの関係者から意見を聴取。その中で、海中で放射性物質が拡散しやすいように「沿岸からできるだけ離して沖合に流すべきだ」との意見が出ていた。
 漁業関係者を中心に海洋放出に反対する声も依然として根強く、東電福島第一廃炉推進カンパニーの小野明最高責任者は会見で「スケジュールありきではなく、まずは関係者の意見を聞いて計画を立てたい」と繰り返した。

◆トンネル建設長引けば、タンク増設か

 福島第一原発で保管されている処理水には、汚染水の浄化処理で除去できない放射性物質トリチウムが主に残る。放出前の処理水に海水を混ぜ、トリチウムの濃度を国の基準の40分の1未満に薄めてから海へ流す。
 保管中の処理水は約127万トンに上り、放出開始を見込む23年春には敷地内のタンクが満水になる見通し。海底トンネルの建設や地元との協議などが長引けば、さらなるタンクの増設が避けられない。
 また、東電は同日に風評被害が起きた際の賠償方針も発表したが、国が示した中間指針を基本にする従来の姿勢を維持した。(小野沢健太)

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