感染爆発 峠まだ越えず 尾身氏、苦言次々「政府は専門家より楽観的」

2021年8月26日 06時00分
 新型コロナウイルスの緊急事態の対象地域の感染状況は、27日から追加される8道県を含めて深刻だ。専門家はコロナ感染を巡る政府の見通しの甘さを指摘し、児童・生徒らのパラリンピック観戦に疑問を投げかける。(小坂井文彦、大野暢子)

◆緊急事態の21都道府県でステージ4

 内閣官房の資料によると、23日時点の人口10万人あたりの新規感染者数(直近1週間)は全国平均で126人。ステージ4(感染爆発)の基準「25人」の約5倍の多さだ。地域別では緊急宣言対象の全21都道府県でステージ4。最多は沖縄(310人)で、首都圏の東京都、神奈川、千葉、埼玉県や大阪府も多い。
 東京都の新規感染者数は25日まで3日連続で、前週の同じ曜日と比べて減ったものの減少幅は小さく、山を越えたとは言いがたい。
 厚生労働省に助言する専門家組織に提出された資料によると、8~14日の東京の繁華街の夜間滞留人口は、お盆時期でもあり、緊急宣言発令直前の一週間と比べて35.8%減った。だが、18~24日は22%減と人出は再び増えており、今後の感染拡大につながる恐れがある。
 確保病床のうち重症者用病床使用率は23日時点で、7都府県がステージ4(50%)。中等症などを含めた病床全体では、まん延防止等重点措置の地域を含めて24都府県がステージ4に突入している。
 自宅療養者も増える一方で、18日時点で全国で約9万7000人。そのうち、首都圏の1都3県が約5万8000人と半分以上を占めている。

◆「バッハ氏来日する必要あったのか」

 政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長は25日、衆院厚生労働委員会の閉会中審査で、菅政権の感染対策の反省点を問われ「時々、専門家より、やや楽観的な状況分析をしたのではないか。改善すべき点があったのではないか」と苦言を呈した。

記者会見する菅首相。右は政府の感染症対策分科会の尾身茂会長

 尾身氏はコロナ下での東京五輪開催を念頭に「感染対策と経済活動の両立は難しいが、時々、矛盾したメッセージになった」とも指摘した。
 政権が国民に感染拡大防止への協力を呼びかける中、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が再来日し、パラリンピック開会式に出席したことを例示して「なぜオンラインであいさつできないのか。国民にテレワークをお願いしているのだったら、なぜ五輪のリーダーのバッハ氏はわざわざ来るのか」と批判した。

◆「子どもパラ観戦、なぜこの時期に」

 児童・生徒らのパラリンピック観戦計画も「なぜこの時期に」と問題視。「問題の本質は、そこで感染が起きるか起きないかではない。一般の人にどういうメッセージになるかだ」と強調した。
 多くの学校が新学期を迎えることに関しては「感染が拡大し、さらに医療の逼迫もあり得る」と懸念した。一斉休校の必要性では「学習の機会を奪うのは気の毒だし、その1点でコロナに立ち向かうことはできない」と否定的な見解を示しつつ、政権が打ち出した教職員へのワクチン優先接種、学校現場での抗原検査推進などの対策強化を訴えた。

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