藤井聡太王位の対局、AIで解析すると…完勝ぶり示す「藤井曲線」ミスの少なさ鮮明に

2021年8月26日 05時00分
 王位戦7番勝負で、難敵である豊島将之竜王(31)の挑戦を退けた藤井聡太王位(19)。トップ棋士も気づかない妙手に注目が集まりがちだが、その真価は最善手を積み上げていく「ミスの少なさ」にあると、棋士たちは指摘する。

◆凸凹残らず、上昇カーブ

王位戦第5局で豊島将之竜王に勝ち感想戦で対局を振り返る藤井聡太王位=25日、徳島市で

 「これは『藤井曲線』になりそう」。第4局の終盤戦、立会人の中田功八段(54)は感嘆を漏らした。藤井王位の棋譜を人工知能(AI)に解析させると、形勢を示す折れ線グラフが序中盤から緩やかに藤井優勢に振れ始める。局面の進行とともにきれいな上昇カーブを描き、終局時に頂点へと達する。大きな失着があれば凹凸の残るグラフになるが、「完勝ぶり」を証明するのが藤井曲線だ。
 専門誌の連載で藤井王位の対局をAIで解析している谷合広紀四段(27)は「とにかく致命的なミスが少ない」と舌を巻く。将棋は優勢になってから勝ちきるのが難しいといわれるが「藤井王位は一番きれいで、紛れが少ない勝ち方を選ぶ。とにかく読みが深く、手の探索速度が速い」。

◆実践の中で、急成長

 そんな藤井王位だが、開幕前には「特に序盤をより深く理解したい」と課題を挙げていた。事実、序盤戦術にたけた豊島竜王との7番勝負は、第1局で完敗。逆転勝ちした第2局も序盤で非勢に陥った。しかし局を重ねるごとに序盤でペースを握られることが少なくなり、第5局は一度もリードを許さず快勝。実戦の中で成長する姿を示した。
 最高品質のパーツでパソコンを自作し、序盤に優れるソフトと終盤が強いソフトの2種類を使い分けるなど、進化への貪欲さも際立つ。そんな藤井王位の姿勢に触発され、パソコンを新調する棋士も少なくない。棋聖戦で渡辺明名人(37)、王位戦で豊島竜王と、棋界最高位の2人に完勝したことの意味は大きい。さらなる飛躍に向け、隙は見当たらない。(樋口薫)

関連キーワード


おすすめ情報

文化の新着

記事一覧