妊婦に優しい 純白ドレス 専門業者も コロナ下で需要

2021年8月26日 07時33分

花谷さん(左)と相談しながらマタニティー専用のウエディングドレスを試着する女性=名古屋市中村区で

 新型コロナウイルスの感染拡大で、結婚式の延期が相次ぐ中、妊娠して挙式を迎える「マタニティー花嫁」もいる。妊婦向けのウエディングドレスの需要も増えているようだ。体調が不安定になりがちな妊娠期。感染予防に気を付けつつ、体に優しいドレスで着飾って、一生の思い出を彩りたい。 (河野紀子)
 七月中旬、妊婦用ドレス専門店「ジェイディ」(東京)が名古屋市内のホテルで開いた試着会。岐阜県瑞穂市の妊娠七カ月の女性(32)が、翌週の挙式を控えて、ドレスの最終調整に訪れていた。同店代表の花谷珠里さん(58)が着心地などを確認。女性は「おなかが締め付けられないのですごく楽です」と笑顔を見せた。
 公益社団法人「日本ブライダル文化振興協会」(同)によると、二〇二〇年度に結婚式を延期・中止したカップルは全国で推計二十七万組。この女性も昨年夏に婚姻届を出したが、コロナ禍のため挙式を延期する中で妊娠が判明したという。花谷さんは「コロナ禍が一時落ち着き、結婚式が再開し始めた今春からドレスのレンタル依頼が増えた」と話す。
 ジェイディは、日本初の妊婦用ウエディングドレス専門店として〇六年にオープン。花谷さんによると、当時も今も妊婦用ドレスを扱う店は少なく、多くの花嫁は膨らんだおなかに合わせたサイズの普通のドレスを着るので、胸がぶかぶかになる。妊娠後期は急におなかがせり出すこともあり、式当日に腹部がきつくなって苦しい思いをする人もいるという。
 同店が扱うドレスは、ウエストの切り替え部分を通常より十センチほど上げて胸下に置き、腹部を圧迫しないよう工夫。それ以外の部分は体にぴったりとフィットする形で、見た目の美しさを保ちつつ、体全体でドレスを支えて腹部に荷重がかからないようになっている。依頼を受けると、新婦から食生活や生活習慣を聞き取り、挙式までの体形の変化を予測。式直前の最終確認で微調整し、体形に合ったドレスに仕立てる。
 花谷さんによると、今は結婚する四組に一組がマタニティー婚。特に新婦が三十五歳以上のカップルでは増加傾向にあり、妊婦用ドレスの需要は大きいという。「コロナ禍の中、命を授かったマタニティー婚をポジティブに考えるカップルが増えた。新婦の体調が安定する妊娠六、七カ月の時期がベスト」。ドレス選びにも変化があり、「最近は以前と比べて、妊娠中のおなかが目立つデザインのドレスが人気」と話す。
 コロナ禍による生活の変化などを研究するニッセイ基礎研究所(同)主任研究員の井上智紀さん(49)は「コロナ禍で妊娠を控える傾向があり、マタニティー婚自体は減っている可能性がある」と指摘。一方で「今春以降もコロナを理由に結婚式を延期するカップルがいる中、挙式するマタニティー花嫁が目立っているのではないか」と分析する。
 同店では、三十種類のデザインの妊婦用ドレスを用意しており、東京の店舗や全国各地で開く試着会のほか、郵送による試着も受け付けている。開店以来十五年間で約千人のマタニティー花嫁を見てきたという花谷さんは「妊婦だから仕方ないと諦めず、自分の気に入ったドレスを着て一生の思い出にしてほしい」と呼び掛ける。

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