<プロに聞く くらしとお金の相談室>企業型確定拠出年金 どう選ぶ

2021年8月26日 07時34分
<Q> 勤務先の会社が、企業型確定拠出年金(DC)の導入を考えているようです。お金を積み立てて運用するという制度らしいですが、その掛け金を出すのは会社なのか従業員なのか、仕組みが分かりません。運用する方法は従業員が自分で選ぶとのこと。私は投資をやったことがないので、どう選べばいいのかも知りたいです。

◆投資信託など自分で運用

<A> 企業型DCは、勤務先を通じて毎月一定額の掛け金を積み立てて、従業員が運用する制度。たまったお金は60歳以降に一時金や年金として受け取ります。通常なら運用益に約20%かかる税金が非課税になったり、掛け金が所得に含まれなくなることで所得税、住民税が安くなったり、さらには受け取る時にも税制面の優遇があったりと、多くのメリットがあります。
 同じDCで、個人で利用するのが「iDeCo(イデコ)」。掛け金を積み立てて運用し、老後に受け取る基本的な仕組みは同じですが、企業型の場合、年数千円の口座管理料を会社が負担するほか、積み立て方法などが会社によって違います。
 まずは、掛け金を積み立てるか、給与として受け取るかを従業員が選べる「選択制」。積み立てを選んだ場合、給与から掛け金分が減額されます。給与が減る分、社会保険料の負担が減り、所得税なども安くなります。ただ、社会保険料が下がると将来の年金額や健康保険の手当金なども減るため、頭に置いておく必要があります。
 会社が給与とは別に掛け金を払うのが「上乗せ」方式。その上乗せ分を超えない範囲で、従業員も給与から掛け金を払う「マッチング拠出」という制度もあります。この場合、従業員が払った掛け金は所得控除されますが、給与自体の減額ではないため、社会保険料は変わりません。また、選択制と上乗せを併用するパターンもあります。
 運用する商品には、元本確保型と元本変動型があります。元本確保型は定期預金や保険。掛けた額が保証される半面、低金利の時代は資産を増やす効果はあまり期待できません。将来、物価が上昇すれば、元本の価値が下がるリスクもあります。
 元本変動型の商品は投資信託。株式や債券、不動産など、投資先の資産の種類や配分割合が商品ごとに異なり、日経平均株価など市場平均と同じ値動きをする「インデックス型」と、市場平均以上の成績を目指す「アクティブ型」に分かれます。
 アクティブ型はインデックス型に比べると手数料が高いですが、商品によっては過去の運用成績がインデックス型を上回ります。また、基本的な資産配分割合を決めつつ、市場の動向に応じて、下落の危険性が高まったと判断した場合に株式などの割合を減らし、リスクを抑えるタイプの商品も。リターン(利益)の良しあしだけでなく、過去の価格変動も考慮して選ぶのがポイント。振れ幅が大きいほど、リスクがあると言えます。
 運用商品は複数を組み合わせることができ、運用中に売却して新たに別の商品を買うことも可能です。過去の実績では、国内外の株式などで積み立て投資すると、預金をするよりも資産を増やすことができています。まだ若く、運用できる期間が10年以上あれば、リターンが期待できる株式中心の投資信託がお薦め。運用期間が残り短くなったら、債券中心の投資信託や定期預金などへの切り替えを検討しても良いでしょう。
<いしはら・げんき> 1979年、名古屋市生まれ。証券会社勤務を経て、金融商品仲介業「きわみアセットマネジメント」の金融アドバイザー。日本FP協会の国際資格・CFPや宅地建物取引士の資格を持つ。

<詳しく>イデコと同時加入 緩和へ

 厚生労働省によると、企業型DCとイデコの同時加入は掛け金上限の引き下げなどが必要で、活用する企業はほとんどない。2022年10月以降、こうした条件が緩和され、同時加入がしやすくなる。
 企業型DCの加入者がイデコに加入する場合、イデコの掛け金上限は2万円(確定給付企業年金などにも加入している場合は1万2000円)。いずれも企業型DC、イデコの掛け金の合計が企業型DCの上限額以内であることが必要だ。 (河郷丈史)

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