<野党に問う>立憲民主・枝野幸男代表インタビュー 「まっとうな政治を取り戻し、支え合う社会に」

2021年8月27日 06時00分

インタビューに応じる立憲民主党の枝野幸男代表

 新型コロナウイルスの感染拡大で政府の対応が問われる中、10月21日の衆院議員の任期満了まで2カ月を切り、次期衆院選が今秋、実施される。自民、公明両党の連立政権に挑む野党は、どんな対立軸を掲げているのか。主な野党の党首に、政権を取ったら目指すべき社会像や新型コロナ対策などを聞いた。

 立憲民主党 2020年9月、旧立民と旧国民民主党の一部が合流して発足。所属議員は衆院109人、参院44人で、両院で自民党に次ぐ第2党。17年の前回衆院選直前、小池百合子東京都知事が代表を務めた希望の党との合流を巡って民進党勢力が分裂し、合流しなかった議員らで旧立民を結党した。

 ―政権を取って目指す社会像をひと言で表すと。
 「『まっとうな政治・支え合う社会』だ。ファクト(事実)に基づき国民の理解を得ながら、ルールに基づいて政治を進めるという、まっとうさを取り戻さないといけない。その上で、所得の再分配、将来不安の解消、エッセンシャルワーカーの下支えの3つを進めることが、社会と経済を活性化させるポイントだ」
 ―自公政権の約9年で、まっとうでない政治だと感じた点は。
 「桜を見る会問題や森友、加計両学園を巡る問題から始まり、学術会議の会員候補のうち6人を菅義偉首相が任命拒否したことも立法過程の事実関係を全く無視していた。現在の新型コロナウイルス感染症対策も全くファクトに基づいておらず、説明もしていない。安全保障関連法や検察庁法改正案だけでなく、コロナ対策も本来のルールに従っているとは言えない。感染症法に基づき感染ルートなどを把握をして感染を封じ込めるのが基本ルールなのに、やろうともしない」
 ―将来不安の解消はどのように実現するか。
 「例えば、コロナ禍で医療ですらサービスの供給量が不足していることがはっきりした。介護や保育や公教育も不足している。少子高齢化や人口減少で高まるリスクに対応したサービスを供給しなければ、社会は回らない。サービスの質を高めながら供給量を増やすことが今一番のニーズだ」
 ―所得再分配の強化では給付を手厚くする考えか。
 「所得の再分配が十分でないことが、現在の日本経済の足を引っ張っている最大の要因だ。しかし、現金給付だけでは、実は貧困の人たちも救えない。例えばシングルマザーやシングルファーザーは、仕事と子育てを両立しなければ貧困から抜け出せない。必要なのは給付以上に、安心できる保育や放課後児童クラブなどだ。質的にも量的にも充実させることが、それ自体が再分配になり、所得の低い人たちが所得を得られる可能性を大幅に広げる」

 ―非正規雇用の正規化も訴えているが、財界からの反発も予想される。
 「経済規模でも雇用者数でも圧倒的に国内で多い内需関連企業にとって(非正規雇用の多用は)顧客を貧乏にしている形だ。顧客にお金がなく、非正規雇用で将来不安が大きいから、安くて良い物も売れない。だから非正規の正規化は、企業にとって販売促進戦略だと説明して進めていく」
 ―財政を健全に保つことが求められる中、再分配や将来不安解消を実現するための財源をどう考えるか。
 「コロナを原因とした100年に1度の危機から命と暮らしを守り、経済をコロナ前のレベルまで取り戻すためにも、今は財政規律への配慮は相当控えざるを得ない。その上で、税の不公平や政府支出のメリハリのつけ方など、具体的な情報は政権をとった後に整理できることで、政府の無駄の削減もそれぞれの事業の代替手段の有無などを細かく調べる必要がある。それができない状況で無責任なことを言えない」

 ―政権を取ったらコロナ対策はどう転換するか。
 「自粛と補償をセットにし、東京で1日の新規陽性者50人程度を目標にする。50人とは感染ルートをきちんと把握できる人数で、新規感染者が出ても広がりを抑えられる」
 ―政権交代後、安倍、菅政権が成立させた法律でやめさせるものはあるか。
 「安全保障関連法や共謀罪、特定秘密保護法など限りなくある。(自民、公明両党が多数の)参院でねじれの状況の中、法改正までできることは当面限られる」

 ―菅政権の説明姿勢をどう評価するか。
 「五輪をやれば人流は減らず感染は広がるとみんな言っていたのに、菅政権は明確なファクトもなく常に希望的、楽観的な見通しや願望を説明するだけだった。こういう根拠で、これぐらいの我慢が必要で、その代わりにこういう支援をやりますときちんと説明しなければ、自粛要請の効果は落ちていく」

 ―自公政権で深まった社会の分断をどう修復する。
 「分断の一番の背景は、自己責任論とそれによって生じる格差だ。政治の自己責任論は、自分のことだけ考えていればいいということを国民に求めるわけだから、社会は分断される。でもそれは個人にとって、長い目で見たらハッピーなことではない。自己責任でうまくいく人は少ない。『情けは人のためならず』ということわざは、社会のある真実を捉えている。それを国民に語っていくことが、リーダーの責任だ」

 ―安倍晋三前首相に「悪夢の民主党政権」と繰り返し攻撃された旧民主党の系譜を受け継ぐ党として、世間の評価は変わったと感じるか。
 「私たち自身が変わったと思っている。(民主党に政権交代した)09年をピークに、私たちには遠心力が働いてきたのは間違いない。その行き着いた先が(17年衆院選直前の)希望の党騒動だった。だが、その後の4年間は野党は求心力が働いている。これは私も自信を持っている」
 ―内閣支持率が下落する一方で、立憲民主党の支持率も上がっていないが、今後どう訴えていくか。
 「地道に、愚直に、ぶれないことだ。17年までの私たちは、周りの声に右往左往していた。その後はぶれずにきたし、それはじわりと伝わっている。まだ(国民が)確信するまでには至ってないから、支持率の数字に反映されてないのだと思っている」

 ―次の衆院選で政権交代を目指すか。
 「それは野党第一党の責任だ。民主党政権発足時に閣僚経験者は少なかったが、今は経験値が違う。政権を担った経験があるからこそ、同じ失敗をしないと自信を持って言える。例えば衆院選で政権をとった後、(参院では少数で)衆参がねじれとなる。その中で何ができるのかは、シミュレーションをしている」
 ―衆院選の対立軸は。
 「『自己責任』対『支え合い』だ」
(聞き手・横山大輔)

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