祖国逃れた難民の選手、競泳に出場 日本の難民認定は極端に少なく「考える機会に」 

2021年8月26日 20時02分
男子100メートル平泳ぎ(運動機能障害SB8)予選 力泳する難民選手団のイブラヒム・フセイン=東京アクアティクスセンター(共同)

男子100メートル平泳ぎ(運動機能障害SB8)予選 力泳する難民選手団のイブラヒム・フセイン=東京アクアティクスセンター(共同)

  • 男子100メートル平泳ぎ(運動機能障害SB8)予選 力泳する難民選手団のイブラヒム・フセイン=東京アクアティクスセンター(共同)
  • 男子100メートル平泳ぎ予選のレースを終えた難民選手団のイブラヒム・フセイン(共同)
 東京パラリンピックでは紛争などで祖国を逃れた6人のアスリートが難民選手団を結成した。26日は先陣を切ってシリア出身のイブラヒム・フセイン選手(32)が競泳男子100メートル平泳ぎ(運動機能障害SB8)に出場した。難民の受け入れが極めて少ない日本で、啓発の契機として期待がかかる。
 予選2組のフセイン選手はスタートで出遅れて6人中最後にゴール。泳法の違反があったとみられ、記録は失格だった。無言で取材エリアを通過し、運営スタッフが「ショックを受けている」と説明した。
 フセイン選手は2012年に友人を狙撃手から助けようとして爆発に巻き込まれ、右足を失った。トルコを経由してギリシャで難民となった。
 23日の記者会見で「戦争の経験はとてもつらいものだと思いますが、頑張ってください。金メダルを獲得を」というホストタウンの文京区の児童の手紙を司会者に紹介され、感極まった様子で「世界の難民を代表して頂点を目指す」と誓っただけに、悔しいレースとなった。
 国連難民高等弁務官事務所によると、20年の世界の難民は8200万人。しかし同年に日本で難民認定されたのは47人で、約6万3000人のドイツ、約2万人のカナダなど他の先進国と比べて極端に少ない。日本の制度では難民の定義である「迫害の恐れがある」ことの解釈の幅が国際的に見ても狭く、戦禍から逃れるだけでは認定の対象になりにくいからだ。
 NPO法人難民支援協会の石川えり代表理事は背景に「社会の関心の低さ」を挙げ「難民選手団の出身地を知り、日本では想像しがたい深刻な人権侵害から逃れてきていることを考え、現状改善に何ができるのか考える機会としてもらいたい」と指摘。27日の陸上男子砲丸投げに出場するシャハラド・ナサジプール選手(31)は「難民選手団が人々の考えを変え、事態が改善すれば」と願った。(原田遼)

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