<野党に問う>共産・志位和夫委員長インタビュー 「困っている人に優しい政治」

2021年8月28日 06時00分
インタビューに答える共産党の志位和夫委員長

インタビューに答える共産党の志位和夫委員長

 ―どんな社会像や政治のあり方を実現したいか。
 「新自由主義的な、自己責任を押しつける政治を切り替えていこうということだ。新自由主義の名のもとで行われてきた規制緩和、弱肉強食、自己責任の押しつけといった流れは、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)でその破綻が誰の目にも明らかになった。医療や公衆衛生が切り捨てられ、働かせ方も『使い捨て』労働に置き換えられてきた。この矛盾がパンデミックで吹き出している。こうした冷たい政治を切り替えて、困っている人の苦しみに心を寄せて一緒になって打開していくような政治にしていきたい」
 ―どう転換させるか。
 「まずはケアに手厚い社会を実現する。医療や介護、障害者福祉、保育などのケアが切り捨ての対象となってきた。それがいまの医療や公衆衛生の崩壊につながっている。人間は他の人のケアがなければ生きていけない。ケアに手厚い社会をつくっていく」
 ―具体的には。
 「先の通常国会では、75歳以上の医療費の窓口負担を倍増させる法案と、消費税を財源に病床を削減する法案が強行された。医療を壊すこうした悪法の実施を許さず、ケアに手厚い財政支出を求めていく。
 もうひとつは、人間らしい雇用のルールづくりだ。1990年代以降の規制緩和によって、雇用が派遣やパート、アルバイトといった非正規に置き換えられてきた。いまや働く人の4割、女性や若者では5割を超える人が非正規だ。正社員が当たり前で、8時間働けば誰もが普通に働ける社会にする。最低賃金は1500円に引き上げる」
 ―税についての考えは。
 「2020年度の税収は過去最高だが、経済は疲弊しきっている。税収が過去最高になったのは消費税を10%に上げたから。消費税はコロナで困窮する人からも、商売で困っている事業者からも情け容赦なく取る税金だ。今は所得税や法人税を抜いて消費税が税収の中でトップ。私たちは、富裕層や大企業に課税して、消費税は5%にすることを強く求めていく。バイデン米大統領は富裕層に課税し、法人税を引き上げると表明している。日本共産党の政策は、世界でも当たり前の流れになっている」
 ―コロナで困窮する人や事業者への支援をどう考えるか。
 「飲食店を中心とする事業者へ自粛要請を続けてきながら、それにふさわしい補償は全くやられていない。中小事業者にとって命綱だったのは持続化給付金と家賃支援給付金を、1回きりで打ち切ってしまった。こうした給付金を継続・強化して支給していくのは当然だ。文化・芸術関係や、イベントの自粛に対する補償も必要だ」
 ―こうした支援策の財源は。
 「コロナは一過性のものだし、一過性にしなければならない。国債の発行で思い切った財政支出をしてでも、必要な手当はしなければならない」
 ―安倍前政権、それを継承した菅政権の何が最も問題だと考えるか。
 「一番の問題は日本の立憲主義を壊してしまったということだ。憲法9条のもとでは集団的自衛権は行使できないという長年の憲法解釈をひっくり返し、安保法制を強行した。こうしたことが許されると、憲法によって権力を縛るという立憲主義の原則が成り立たなくなる。立憲主義という政治の根源でモラルハザード(倫理観の欠如)が起きているので、森友・加計学園や『桜を見る会』の問題、政治とカネの問題が吹き出しても誰も責任を取ろうとしない。野党が共闘して立憲主義を取り戻すことが非常に大事だ」
 ―次の衆院選で政権交代できるか。
 「野党がしっかりまとまれば政権交代できる。しっかりまとまる体制をつくるべくいま努力している」
 ―政権交代が実現した場合、共産党は連立政権に入るか。
 「私たちは閣内も閣外もどちらもあると言っている。閣内でなければいけないとは一度も言っていない。他党との話し合いのなかで一致点を大切にして決めればいい」
 ―野党共闘の今後の展望は。
 「必ず政権を取るところまで発展すると思っている。次の総選挙で政権を奪取するという目標を掲げて初めて野党の役割を果たせる。科学を無視し、国民に説明せず、自己責任論をコロナ対応にまで持ち込んだ菅政権には任せられない。命を守るためにも政権交代を実現し、新しい政権をつくることがどうしても必要だ」
(聞き手・木谷孝洋)

 日本共産党 1922年に創立。所属議員は衆院12人、参院13人。国民本位の政治を貫くためとして、企業・団体献金や政党交付金を受け取っていない。政権交代による野党連合政権の実現を主張する。党綱領では日米安保条約廃棄や、自衛隊の解消を掲げる。

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