東京都内の妊婦感染者、7月は少なくとも98人で過去最多 病院長が独自調査<新型コロナ>

2021年8月28日 06時00分
 新型コロナウイルスの感染拡大で、東京都内の7月の妊婦の感染者数が少なくとも98人と、昨年4月以降最多だったことが、都内の病院長の調査で分かった。千葉県柏市で感染した妊婦の入院先が見つからず、自宅で早産した赤ちゃんが死亡した問題を受け、菅義偉首相は感染した妊婦に対する医療体制整備を進める方針を表明した。だが、感染の実態は把握できていない。病院長は「地域の妊婦の状況が正確に分からなければ、実効性の高い医療体制はつくれない」と、実態把握の必要性を訴える。(柚木まり)
 調査は、日本医科大多摩永山病院(多摩市)の中井章人院長(産婦人科)が、都に月ごとの速報値を聞き取ってまとめた。分娩ぶんべんができる都内医療機関が対象。集計を始めた昨年4月以降で感染者は計460人だった。「第5波」が始まったとみられる7月の98人は、5月の2倍。調査対象はごく一部の医療機関で、実際の感染者はさらに多い可能性がある。
 感染した妊婦のうち438人(95.2%)は入院、22人(4.8%)は子育てなどの理由で自宅療養をした。感染中に出産した77人のうち8割が帝王切開をしていたことも分かった。
 都などによると、感染した妊婦の搬送困難事例はないものの、中井院長は「8月に入り、かかりつけの産婦人科医自らが患者の入院先を探す相談を受けることが増えた」と話している。

◆データの公表なく、医療体制に課題

 妊婦の感染者数は厚生労働省や多くの都道府県で公表されていない。中井院長は、必要な医療提供のため実態を把握しようと都に聞き取り調査するが、データ集計は月ごとで、迅速な対応に結び付きにくい。「妊娠週数や症状によって対応できる周産期の医療機関は限られ、感染症対応が可能となるとさらに少ない。国や都は感染妊婦数を調べ、医療機関に正確な情報提供をするべきだ」と訴える。
 厚労省は、柏市での事例後、確実な周産期医療体制の確保のほか、感染者の発生届で妊娠の有無を確実に把握するよう都道府県に通知した。だが保健所など現場の業務が増えることや「現場から上がるデータの信頼性が不明」(コロナ対策推進本部)とし、今後も妊婦の感染状況を集計、公表する予定はないという。
 都福祉保健局も公表の予定はないとしている。一方で神奈川県は13日、今年4月から今月10日までの間、県内感染者のうちの妊婦の数を公表。7月は130人で、期間の合計は289人だった。

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