デルタ株から命守るため

2021年8月28日 08時00分
 論説室では今週、新型コロナウイルスの感染拡大を巡る議論に多くの時間を割きました。横浜市長選での与党系候補の敗北は、菅政権のコロナ対策に対する批判の高まりが一因ですし、夏休み明けの学校での感染拡大も気掛かりです。緊急事態宣言も二十一都道府県に拡大されました。
 感染力がより強い「デルタ株」への置き換わりが進み、新規感染者数は従来株と全く異なる増え方をしています。感染状況はさらに厳しい、新たな局面に入ったと考えるべきです。社説にはそうした問題意識を反映しました。
 従来株と比べてデルタ株の感染力が強いのは、人の細胞にくっつきやすいためと考えられています。
 よりたくさんの肺の細胞に入り込んで感染すれば、急激な重症化につながります。より多くの細胞が感染すれば増殖するウイルスも多くなり、感染者が呼気やせき、くしゃみなどで外に出す飛沫(ひまつ)が含むウイルス量が多くなります。
 中国の研究チームは、デルタ株の感染者のウイルス量が従来株より約千倍多かったと報告しています。
 しかし、政府や自治体は状況の変化に的確に対応できていません。医療が逼迫(ひっぱく)し、病床確保の遅れは深刻ですが、菅義偉首相は「明かりは見え始めている」と楽観的です。
 感染しても重症化リスクが低いと判断されれば入院を拒否されます。自宅療養中の軽症者の容体が急変し、亡くなる事例も相次いでいます。
 医療関係者は深刻な感染状況を「災害級」と評します。政府や自治体に対策強化を求めつつも、災害ならまず自分の身を守る必要があります。
 読者の皆さんにはマスク着用、こまめな換気、人との距離をとる、手洗いなどの徹底をあらためて訴えます。
 これらは当たり前のことですが、デルタ株から命を守るためには、感染状況が極めて深刻であるとの私たちの問題意識を伝え、読者の皆さんと共有したいのです。 (と)

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