コロナ禍で若者の心も不安定に 中高生や大学生から「つらい」とメール相談

2021年8月29日 06時00分

「子どもの変化を周囲の大人が見逃さないで」と訴える日本精神保健福祉士協会の加藤雅江理事=東京都内で

 感染拡大が深刻化するコロナ禍を受け、日本精神保健福祉士協会(東京都新宿区)が始めたメール相談に、中高生や大学生らから「つらい」「消えちゃいたい」など、不安定な心情を映しだすような声が寄せられている。感染の急拡大は若者たちの心に影響を与えているといい、専門家は「子どもの変化を周囲の大人が見逃さないで」と呼び掛ける。(奥野斐)

◆夜中に長文での訴えも

 メール相談は「子どもと家族の相談窓口」の名前で、昨年5月に同協会が始めた。協会にはメンタルヘルスの課題を抱える人への生活支援などに取り組む精神保健福祉士が所属し担当。メールを24時間受け付け返信する。悩みに共感し、問題の整理の手助けや医療機関の紹介などにつなげている。
 これまでに150件近くの相談が寄せられ、半数ほどが10代、20代の若者だった。協会理事で杏林大保健学部教授の加藤雅江さん(53)は「想定した以上に中高生や大学生本人からの相談が多い。誰にも言えないと、夜中に長文で訴えてくる声もある」と明かす。

◆はっきりした理由がなくても

 中高生では、会員制交流サイト(SNS)でのトラブルや、家族との不和の悩みが目立つ。親から暴言、暴力などの虐待を受けていたり、理不尽な要求や束縛に「親を殴ってしまうかも」という声も。外出自粛で自宅に長時間いることでのストレスや、家族との関係悪化が背景にあるという。
 また、漠然と「死にたい」と考えてしまう状態と「生きたい」という思いの間で揺れ動く気持ちを吐露する訴えも。「消えちゃいたい」「いなくなりたい」といった文面もあり、加藤さんは「いじめや虐待など、はっきりした理由がなくても、不安から死への願望を抱く子も少なくない」と心配する。
 大学生からは、大人の代わりに家事や介護を担う「ヤングケアラー」のつらさを書いた相談も届く。幼いきょうだいの世話をしているという学生は、夜泣きで不眠になり、勉強時間が削られ、友人との会話にもついていけないといい「死にたい」とつづった。

◆まずは気持ちに共感を

 厚生労働省や文部科学省によると、2020年の小中高生の自殺者数は前年から100人増の499人で、同様の統計のある1980年以降で最多。大学生は415人だった。
 杏林大の加藤さんは、周囲の大人に対し「目の前にいる子がもしかしたら問題を抱えているかも、と気にかけてほしい。子どもが漏らす一言を逃さず、まずは気持ちに共感してあげて」と求める。
 子どもの相談を受けていた保健師らがコロナ対応で、窓口を縮小している自治体もあるという。
 「子どもにとって安全でない家庭がある、との認識を持ち、学校や地域の大人がSOSをすくい上げないといけない。子どもの問題を家族だけに対応させないことが大事」と訴えている。

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