<記者だより>差別の刃

2021年8月29日 07時12分
 八月中旬、川崎駅前で日の丸を掲げた団体の街宣が行われた。街宣参加者が掲げる北朝鮮による拉致被害に触れたプラカードを目にし、心が鉛のように重く黒く沈んでいくのを感じた。
 「奴隷にされた」「調教」。拉致被害に遭った女性たちの写真に連ねられた醜悪な言葉。以前はより性的な侮辱を含んでいた。この日は横浜市内で横田めぐみさんの写真展が開催中で、無事を願う多くの人の心も踏みにじるものと思った。
 川崎ではかねて、在日コリアンに対するヘイトスピーチが問題となってきた。このプラカードを見たカウンターの男性は「レイシズムとセクシズム(性差別)がないまぜになっている」とつぶやいた。
 思い起こしたのは、街宣の数日前に小田急線内で起きた刺傷事件だ。逮捕された市内の男は「幸せそうな女性を見ると殺したいと思うようになった」と供述した。変えられない属性のため、命をも奪おうというヘイトクライムが起きている。放置すれば、差別の刃はいつ自分に向けられるかも分からないのだ。(安藤恭子)

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