電車だ!! 飛行機だ!! いいえ、シェアオフィスです。 川崎「電車とバスの博物館」に誕生

2021年8月30日 07時13分

レトロ感あふれるモハ510形の車内

 テレワークが広がり、あちこちで見かけるようになったシェアオフィス。「電車とバスの博物館」(川崎市宮前区)の一角に、本物の旅客機や、古めかしい電車の中で仕事ができる変わり種の「TSO DENBUSワークスペース」が誕生したと聞き、訪ねてみた。
 搭乗口をくぐると左にコックピットが見える。戦後初の国産旅客機「YS11」の機首を切り取った展示物だ。座席に座り、新たに据え付けられたテーブルにパソコンをセット。電源につないで、無料Wi−Fiに接続、さあ仕事−。

YS11の機内でも仕事できる。奥はコックピット

 ここは東急電鉄が運営する「電車とバスの博物館」B棟。東急田園都市線の宮崎台駅から徒歩二分ほどの場所にある。元は子どもたちが昔の電車に触れ、鉄道模型で遊べる空間だったが、感染症対策で昨年二月末から休館していた。
 それから一年たっても、コロナ禍収束の兆しは見えない。「遊休施設にしたままでは、もったいない」と社内から声が上がり、八月一日にシェアオフィスとしてオープンした。
 約五百平方メートルに計二十九席のゆったりとした空間。目を引くのは、やはり実物展示のYS11と、一九三一年から運行された電車「モハ510形」だ。

使う際に「機長名」を書き込んで

 YS11は一人用個室で、利用は連続一時間まで。予約は搭乗口近くのボードの「搭乗予定時間」に「機長名」を記入する。こんな遊び心が楽しい。
 モハ510形は床や窓枠に木が使用され、レトロ感たっぷり。ロングシートで本来の定員は四十人だが、シェアオフィスでの定員は六人のみ。広々と使える。
 子どもたちが鉄道模型で遊んでいたスペース「プラレールパーク」には人工芝を敷き、キャンプ用のいすやテーブル、ランプを置いてアウトドア風にアレンジ。照明は暗めで、鳥のさえずりや小川の水音が流れていて癒やされる。
 シンプルにテーブルが並ぶエリアなどでは飲食やウェブ会議も可能。脚に駅で使われた柱を再利用したテーブルもある。

この記事はココで執筆

 実はこの記事、まさにここで書いている。あちこちで電話が鳴り、デスクの目が光る社内に比べ、キーボードをたたく指先も軽快に弾む気がして、つい高評価を与えたくなってしまう。疲れたら運転シミュレーターで息抜きしようかな。
 そういえば「電車とバスの博物館」に、なぜ旅客機が…。説明板を見ると、YS11を所有していた東亜国内航空(日本エアシステムに名称変更後、日本航空に経営統合)は、東急の航空部門だったという。こうした豆知識を学べるのも悪くない。
 館内で一休みしていた女性会社員(43)=川崎市宮前区=に声を掛けた。鉄道ファンではなく、自宅から近いので初めて来たという。「ウェブ会議では背景が映り込むので、自宅よりいい。アウトドアのスペースはリラックスできてすてき」と合格点を付ける。
 東急電鉄の沢口俊彦さん(32)は「一日で十人程度の利用で、出だしはまずまず。週末に読書する方もいる。多様性ある空間を思い思いに利用して」と話す。

駅の柱を脚に再利用したテーブル

 営業時間は午前九時半〜午後五時(木曜定休)、料金は一時間二百円(一日最大で千円)。支払いにはクレジットカードで決済するアプリ「suup(スープ)」のダウンロードが必要。
 文・梅野光春/写真・梅野光春、宮崎美紀子
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