【解説】米軍のアフガン撤退 甘い見通しで汚点残す 「民主国家」結束に影響も

2021年8月31日 11時32分
30日、アフガニスタン首都カブールで、タリバンの旗を売る男性(AP)

30日、アフガニスタン首都カブールで、タリバンの旗を売る男性(AP)

 米国史上最長となったアフガニスタン戦争は、厭戦(えんせん)ムードの広がりから撤退そのものへの反対は小さかった。しかし最終局面で、敵対したイスラム主義組織タリバンの復権や、過激派のテロ攻撃を許すなど、甘い撤退戦略が汚点を残した。他国の退避作戦にも影響し、バイデン政権が重視する「民主国家同盟」の結束が揺らぐ可能性がある。
 米国が2001年に開戦の大義としたのが「テロとの戦い」だった。しかし、国際テロ組織アルカイダの指導者ビンラディン容疑者を殺害した後も駐留を続け泥沼化。戦争の名目は、米国に親和的な政権の樹立がテロを防ぐとして、民主国家の建設に移っていた。
 だが、「外国の軍隊に国家は建設できない」と語る退役軍人の声を数多く聞く。米国が支援してきたアフガン政府も政府軍も、タリバンの攻勢に屈し、情勢は一気に不安定になった。
 「テロとの戦い」で始まった戦争は、過激派組織「イスラム国」(IS)系勢力のテロ攻撃が相次ぐ中での撤退で終わった。各国の国民は逃げ惑い、取り残された人もいる。バイデン氏は対中国を念頭に民主国家による同盟関係を重視するが、英国の国防相が米軍撤退を批判するなど同盟国への波紋も広がった。
 米ブラウン大のまとめでは、米国の戦費は20年で2兆㌦(約220兆円)を超え、アフガンでは市民5万人以上を含む約17万人が死亡。過去3つの政権が戦争終結を先送りし、負担と犠牲は膨らんだ。終止符を打ったバイデン政権の決断は当然とも言えるが、最後に大きな禍根を残した。(アメリカ総局・吉田通夫)

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