ゴッホ展 この作品に注目!!(1)糸杉に心奪われる 《夜のプロヴァンスの田舎道》1890年

2021年9月1日 07時26分

フィンセント・ファン・ゴッホ《夜のプロヴァンスの田舎道》 1890年 クレラー=ミュラー美術館蔵 ⒸKröller-Müller Museum,Otterlo,The Netherlands

 「ゴッホ展−響きあう魂 ヘレーネとフィンセント」ではゴッホの芸術に魅了され、世界最大の個人収集家となったヘレーネ・クレラー=ミュラーのコレクションを紹介する。本展に出品される注目作品を東京都美術館の大橋菜都子学芸員が5回にわたり解説する。
 ゴッホは、27歳のときに画家となる決意をし、37歳で世を去る。わずか10年の画業は、初期のオランダから、フランスのパリ、アルル、サン=レミ、最晩年のオーヴェール=シュル=オワーズと、居を変えるごとに展開を見せ、拠点とした地の風土とも密接な関係をもった。
 本作品は、精神を患い、自ら入院した療養院のある南仏プロヴァンス地方のサン=レミで描かれた。この地で初めて、南仏のまばゆい風景のなか、高く黒々とそびえる糸杉に魅了された。濃い緑色の色調に心奪われながらも、弟テオらに宛てた手紙では、それを表現する難しさが幾度も吐露されている。
 本格的に糸杉に取り組んでから1年近くを経て、南仏を去る最後の数日に制作されたのが本作品。まさに南仏滞在の集大成といえるだろう。うねるような星月夜を背景にした糸杉には、豊かな緑の色調がリズミカルに重ねられ、風に揺らめきつつも、天に向かうような力強さが感じられる。

◆18日から都美術館で

「ゴッホ展」は18日から12月12日まで、東京都美術館(東京・上野)で開催。チケットは1日正午から販売。日時指定予約制。詳細は「ゴッホ展」で検索。

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