<社説>防衛費増額要求 際限なき膨張止めねば

2021年9月2日 07時16分
 防衛費の際限なき膨張には歯止めをかけなければならない。
 防衛省予算の二〇二二年度概算要求は五兆四千七百九十七億円となった。過去最大だった二一年度当初予算(五兆三千四百二十二億円)比2・6%増。金額を明示しない「事項要求」も含まれ、年末に編成する二二年度予算案は過去最大を更新する可能性がある。
 防衛費は冷戦終結後、減少傾向が続いたが、安倍晋三前首相の政権復帰後に編成した一三年度に増額に転じ、当初予算は二一年度まで九年連続で増え続けてきた。
 防衛省は要求根拠に、中国などの台頭で周辺情勢が厳しさを増していることや、サイバーなど新領域に対応する必要性を挙げる。
 情勢変化に応じて防衛力を適切に整備する必要性は理解するが、防衛費の膨張が続けば日本に軍事大国化の意思ありと誤解を生み、軍拡競争を加速させかねない。
 防衛費膨張の一因には、最新鋭ステルス戦闘機F35A=写真=やF35B、イージス艦に搭載する迎撃ミサイルSM6など、高額な米国製の防衛装備品を購入し続けていることも挙げられる。
 これらは米国が価格や納期の設定に主導権を持つ対外有償軍事援助(FMS)で契約され、調達費用をさらに押し上げる要因になっている。本当に必要な装備か、仮に必要だとしても調達方法が妥当か、検証し続けるべきだろう。
 高額な装備は複数年度に分割して支払うため初年度の計上は少ないが、残額は「新規後年度負担」として積み上がる。二二年度は要求段階で二兆七千九百六十三億円と過去最大を更新した。
 後年度負担を含めた実際の防衛費は、見かけよりもさらに膨張していると考える必要がある。
 防衛予算の編成では事項要求に加え、当初予算段階では見送り、補正予算で計上する手法も多用されている。当初予算を低く見せることで国民の反発を避ける意図があるのなら見過ごせない。
 新型コロナウイルス感染症対策に巨額の予算が必要とされ、財政状況は厳しさを増している。防衛費を聖域化せず、防衛力整備には節度を持って臨むべきである。

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