【詳報】池袋暴走事故 飯塚幸三被告に禁錮5年の実刑判決 裁判長「過失は重大。深い反省の念ない」

2021年9月2日 18時53分
 東京・池袋で2019年4月、乗用車が暴走し、松永真菜まなさん=当時(31)=と長女莉子りこちゃん=当時(3)=が死亡した事故の刑事裁判は2日午後2時から、東京地裁で判決が言い渡される。自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われ、禁錮7年を求刑された飯塚幸三被告(90)にどのような判決が出されるのか。判決の内容や法廷の様子を速報する。

11時20分 傍聴券求め563人、倍率25倍

整理券を求める長い行列=2日午前

 雨の中、地裁には傍聴の整理券を求める長い行列ができた。裁判所によると、整理券563枚を配布し、倍率は約25倍となった。
 飯塚幸三被告は、運転ミスはなく、車の不具合が原因として無罪を主張している。検察側は車に異常はなかったと主張し、飯塚被告がブレーキと間違え、アクセルを踏み続けて事故を起こしたとして、禁錮7年を求刑している。

13時15分 松永拓也さんら遺族が東京地裁へ

真菜さん、莉子ちゃんの遺影を手に東京地裁に入る松永拓也さん(左から2人目)ら=2日午後

 松永真菜さんの夫の松永拓也さん(35)や、父の上原義教さん(64)が東京地裁に入った。拓也さんの手には、晴れ着姿の真菜さんと莉子ちゃんの遺影。拓也さんと上原さんは終始、伏し目がちで厳しい目つきのまま地裁の門をくぐった。

14時00分 飯塚被告に禁錮5年の実刑

 下津健司裁判長が飯塚幸三被告に禁錮5年の実刑判決を言い渡した。車いすのまま証言台に入った飯塚被告は、判決言い渡し前の氏名の確認に「はい」と大きく、はっきりとした口調で返事をした。実刑が言い渡された瞬間には、身じろぎする様子はなかった。飯塚被告の額の右端には茶色いあざがあり、ばんそうこうが貼られていた。

14時10分 踏み間違えと認定

 裁判長は、被告がブレーキと間違えてアクセルを踏み続けたことを認定した。「過失がある」と述べた。
 弁護側は、車の何らかの異常で暴走したため、ブレーキとアクセルを踏み間違えたわけではないと主張していた。飯塚被告はうつむき加減で、じっとした様子だった。
 松永拓也さんは時折、眉間に深いしわを寄せ、目をつぶり手を当てていた。
 警察の調べでは、被告の車が2人の自転車と衝突したときに、推定で平均速度で時速96キロに加速していたとしていた。弁護側は警察の調べに信用性がないと主張していたが、裁判所はドライブレコーダーの映像や防犯カメラ、現場での測量などから「特段の問題はない」と判断した。
 車が暴走していた際にブレーキランプが点灯していなかったという目撃者の証言を「信用できる」とし、車の記録にもブレーキペダルが踏まれた形跡がなく、アクセルが最大限まで踏まれていたことを示していたことなども指摘した。
 「ブレーキとアクセルを踏み間違える状況ではなかった」という弁護側の主張は「パニック状態に陥り、踏み間違えに気づかないまま踏み続けるのは十分ありうる」と退けた。

14時35分 車の不具合「通常は考えがたい」

 弁護側が事故原因だと主張した車の不具合については、暴走を抑止する車の機能を指摘。アクセルやブレーキ、車載コンピューターに関する多種多様な故障が偶然、同時に起きないと今回のような暴走には至らないことから、「通常は考えがたいと言うべき」と退けた。

14時45分 「苛烈な社会的制裁」も考慮

 禁錮5年とした量刑理由についての説明が始まった。「アクセルとブレーキを的確に操作することは、年齢にかかわらず等しく求められる最も基本的な注意義務の1つ。被告人の過失は重大」と指摘した。法廷で踏み間違えの記憶は全くないとの証言に「過失を否定する態度に終始している。深い反省の念を有しているとはいえない」と非難した。
 一方で、90歳と高齢で、体調も万全ではないと考えられることや、「誰しもが不測の事態に直面して狼狽してしまうことはあり得る」ことも考慮。事故後、脅迫状が届いたことなどを「苛烈な社会的制裁」と指摘し、「被告人に有利に考慮すべき事情の1つ」とした。

14時55分 裁判長「遺族に真摯に謝って」

 下津裁判長は判決を読み終えると、「被告人、いいですか」と声をかけた。飯塚被告は深く2回うなずいた。
 続いて、裁判長は「過失は明白。被害者遺族に真摯に謝っていただきたい。そこを認めて謝罪するところから実践していただきたい」とさとし、「控訴することでもできます」と手続きを紹介した。
 飯塚被告はうなずき、うつむいたまま弁護人に車いすを押されて法廷を後にした。真菜さんの父親の上原さんは被告の背中をじっと見詰め続けた。

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