禁錮5年の飯塚被告に異例の説諭 裁判長「過失は明白。遺族に真摯に謝って」

2021年9月2日 18時47分
事故現場で実況見分に立ち合う旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長(中央)2019年6月13日撮影

事故現場で実況見分に立ち合う旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長(中央)2019年6月13日撮影

 「被告人、いいですか」。東京・池袋で2019年4月、暴走した車に母子がはねられて死亡した事故の裁判。東京地裁の下津健司裁判長は、飯塚幸三被告(90)に禁錮5年の実刑判決を言い終えると、異例の説諭を始めた。
 「過失は明白。判決に納得できるなら被害者遺族に真摯に謝っていただきたい」
 裁判長は、はっきりとした口調で言い切った。被害者や遺族が行方を見守る中、「認めて謝罪するところから実践していただきたい」と諭した。飯塚被告は車いすに座ったまま、じっと聞いていた。
 事故では横断歩道を自転車で渡っていた松永真菜さん=当時(31)=と長女莉子ちゃん=当時(3つ)=が死亡し、通行人ら男女9人が重軽傷を負った。
 判決では「踏み間違いに気付かないままアクセルペダルを最大限まで踏み込み続けた」と認定。被告の態度についても厳しく指摘した。
 判決理由で、裁判長は「被告人が本件事故に真摯に向き合っていないこともあり、遺族らは一様に被告人に対する峻烈(しゅんれつ)な処罰感情を有している」と語った。
 法廷で「申し訳なく思っている」などと謝罪の言葉は口にしていた飯塚被告。
 判決では、「アクセルとブレーキを踏み間違えた記憶は全くないと述べ、自らの過失を否定する態度に終始している」「事故に真摯に向き合い、自分の過失に対する深い反省の念を有しているとはいえない」とも指摘していた。
 裁判長の言葉を聞いた飯塚被告は、最後にゆっくりとうなずいた。弁護人に車いすを押され、うつむいたまま退廷した。

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