ウィズコロナ 人にやさしい無人店舗 買い手 自分のペースで/働き手も在宅で

2021年9月3日 07時12分

無人の古着店を出店する岡本さん。「マネキンは誰かいると見せるために置いている」という=草加市の秘密のさくらちゃん草加新田駅店で

 24時間、店員が誰もいない−。そんな業態の店舗が県内でも目立ち始めている。無人と言っても畑や農家の軒先で小銭を入れて購入する野菜の販売所ではなく、売っているのは古着や冷凍ギョーザだ。買い手、働き手ともに接触が敬遠されるコロナ禍を背景に、注目が高まっている。(近藤統義)
 店員か、お客さんか。誰かいると思って足を踏み入れると、全身を着飾ったマネキンだった。草加市の東武伊勢崎線新田駅から歩いて三分。商店が並ぶ通り沿いに、五月にオープンした無人の古着店「秘密のさくらちゃん」はある。
 約百平方メートルの店内には古着のほか、靴やバッグなど千点が並び、値段は百〜二千円。商品のタグに付いた動物のイラストからパンダ=五百円、ウサギ=千円と確認でき、券売機に代金を入れて購入する仕組みだ。客が入店するとセンサーが感知し、スタッフのスマートフォンに通知される。防犯カメラや遠隔対応のモニターもあり、人の目も届くようになっている。
 運営する「ママハイ」(東京)によると、無人店舗は昨年十二月に都内で一号店を始めて以降、現在は新所沢店(所沢市)など四店舗まで増やした。岡本紀子社長(49)が五年ほど前、自宅ガレージで古着を無人で売っていた経験がヒントになった。
 岡本さんは衣類の大量廃棄による環境問題にも関心があり、古着の回収ボックスを店内に設置している。出店を拡大し、ボックスを各地に広げるためにも人件費などコストを抑えられる無人化に踏み切った。
 「接客がないので、自分のペースでゆっくり買い物しているお客さんが多い」と岡本さん。コロナ禍で個人消費が鈍る中でも手応えを口にする。スタッフには子育て中の母親も多く、在宅ワークが進む最近の働き方にもマッチするという。「子どもが家にいて外に出にくいというママでも無理なく働ける。それも無人ならではのメリットです」

代金を支払う券売機。岡本さんは上部のモニターから客に遠隔対応する

◆ギョーザも 1分もかけず買える

 全国で約二百店舗を展開する「餃子(ぎょうざ)の雪松」は、冷凍ギョーザを二十四時間営業の無人店舗で販売する。県内には二十一店舗あり、入間市に工場も置く。
 店内には大きな冷凍庫と、購入方法を説明するモニターのみ。ギョーザは三十六個入り千円。客は冷凍庫から商品を取り出し、お釣りが出ないように代金を料金箱に入れるだけだ。
 運営会社の「YES」(東京)によると、無人店舗は二〇一九年七月に都内で初出店。群馬県の温泉街にある老舗「お食事処 雪松」から継承したギョーザを「手軽に安く味わってほしい」と始めた。
 こちらも各店舗に防犯カメラを設置。スタッフが定期的に在庫管理などで店を訪れ、大きな万引被害はないという。同社マーケティング部長の高野内謙伍さんは「常連のお客さんからは一分もかからずに購入できると好評です」と話す。

無人店舗の「餃子の雪松 越谷店」。冷凍庫からギョーザを取り出し、料金箱(右下)に代金を入れる=越谷市で


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