知事・村長「ダブル選」の東海村 再稼働、議論深まらず 反対組・二人三脚で相乗効果/現職組・エール交換1度きり

2021年9月3日 07時12分

知事選と東海村長選のポスター掲示板。後ろは東海村役場=いずれも同村で

 日本原子力発電東海第二原発が立地する東海村では、ともに5日投開票の村長選と知事選の「ダブル選挙」が展開されている。争点の再稼働問題を巡っては、いずれの選挙も、あいまいな態度を取り続ける現職と反対する新人の一騎打ちの構図。反対組が二人三脚で相乗効果を狙う一方、現職組は再稼働問題に及び腰だ。新型コロナウイルス禍で選挙活動が制約される中、有権者の間からは低調ぶりを嘆く声が漏れる。(松村真一郎、保坂千裕)
 「原発問題や都市計画に詳しい乾さんに新しく村長になってもらうために、全力で頑張ろうではありませんか」
 村長選が告示された八月三十一日午前、村内のイオン東海店前。知事選に挑む新人の田中重博氏(74)は、村長選で第一声を上げた新人の乾康代氏(67)とのツーショットを披露した。演説後は、集まった支持者らとグータッチを交わし、共闘をアピールした。
 両候補は、再稼働反対だけでなく、福祉重視など共通する政策が多い。乾氏の陣営幹部は「共に闘う姿を見せることで、共通の支持者を掘り起こしていきたい」と期待する。
 一方、知事選で再選を目指す現職の大井川和彦氏(57)は選挙公約で再稼働問題に言及せず、村長選で三選を狙う現職の山田修氏(60)も「住民の意向把握などのプロセスを踏んだ上で、最終的に再稼働の是非を判断したい」と従来の主張を繰り返している。
 大井川氏は八月二十二日に村内を遊説した際、山田氏の事務所に立ち寄った。コロナ対策などを盛り込んだ公約の内容を説明し、山田氏と互いの健闘を誓い合ったとされる。
 しかし、大井川氏はこの日以外、村に入る予定はなく、有権者の前で山田氏と並び立つ場面はなさそうだ。
 そもそも両候補は、コロナ禍で大規模な演説会を取りやめた。山田氏は代わりに、選挙カーで村内を回る途中、住宅地の一角などに五分ほど降り立ち、コロナ対策や地域振興などの政策を訴えている。
 山田氏の陣営関係者は「大差で勝つために投票率を上げたいが、コロナ禍でどこまで選挙ムードが高まるか読めない」とため息をついた。
 有権者はダブル選挙をどう見ているのか。
 五十代の男性会社員は、二〇一一年三月の東京電力福島第一原発事故を受けて「事故を起こす可能性がある原発や電力会社は信用できない」ときっぱり。東海第二の再稼働問題を重視して票を投じる予定だ。
 無職男性(85)は「県民や村民の声を反映してくれる政治に期待したい」と強調する。村長選候補の選挙カーは見かけるが、知事選候補の生の声を聞く機会はない。「選挙戦があまり盛り上がっていない感じがするね」と残念がった。

東海村長選の候補者(手前)の訴えを聞く有権者ら


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