小川町メガソーラー 自民県議団の中止要望に 知事「事業化は困難」

2021年9月4日 07時20分

2019年の台風19号の大雨の後、地滑りを起こした予定地=小川町で、住民提供

 小川町に計画されている県内最大の太陽光発電施設(メガソーラー)について自民党県議団(小島信昭団長)は三日、「多量の土砂搬入や地域環境の激変に対し、住民は大きな懸念を示している」として、大野元裕知事に事業の中止を求める要望書を提出した。知事は「地権者の同意を得られない事業の事業化は困難と考えている」と述べ、現計画での着工は困難との見通しを示した。計画に反対する住民らは「大きな前進」と受け止めている。(中里宏)
 事業は「さいたま小川町メガソーラー」の名称で、ゴルフ場開発が中止になった丘陵地約八十六ヘクタールに、出力三万九千六百キロワットの太陽光発電所を建設する計画。
 要望書は、事業地の盛り土量が七十二万立方メートルに上り、七月に静岡県熱海市で起きた土石流発生地点の盛り土量推計の約十倍になることや、予定地内で二〇一九年の台風19号の後、地滑りが起きた点を指摘。粘土質の山の斜面に盛り土をすると滑りやすいとして「事業者はこの危険性を払拭(ふっしょく)しなければならない」とした。
 また、盛り土の約半分は外部から残土を搬入するため、大型ダンプなど一日百五十七台(往復三百十四台)が九十秒に一台通行することになり、地域環境に甚大な影響を与えるとしている。
 小川町の松本恒夫町長は一日の町議会で、笠原英彦議員が質問した事業地内の町有地について「売り払いも賃貸も行わない」と答弁した。事業地内には「赤道」「里道」と呼ばれる道路法で規定されない「法定外公共物」の道が多数あり、この道を事業者に利用させない立場を鮮明にした。

大野知事(中)に事業中止を要望する自民県議団の小島信昭団長(左から2人目)=県庁で

 事業の着工には、ゴルフ場開発として取得されている県の林地開発許可をメガソーラーに用途変更しなければならず、林地開発許可には地権者の同意が必要。大野知事の「事業化は困難」という発言は、こうした事情を踏まえたものとみられる。
 地元選出の小久保憲一県議は「再生エネルギーは必要。しかし、すでに地滑りが発生しているところに大量の盛り土をし、九十秒に一台のダンプが通行するなどあり得ない」と話した。
 事業地内や周辺で絶滅が危惧されるタカ科のサシバやサギ科のミゾゴイの営巣を確認した「比企の太陽光発電を考える会」の小山正人代表は、「地元の意見を尊重した知事の発言は大きな前進。この事業は生態系への影響も非常に大きく、引き続き中止を求めていきたい」とコメントした。
 メガソーラー事業者「小川エナジー合同会社」代表者の男性は「取材には応じていない」と話した。

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