<新型コロナ>ガウンとフェースシールド、試作重ね納入 さいたま市内2町工場が計2200枚

2020年5月16日 02時00分

完成したビニール製ガウンを試着する平野専務(左)と石三社長=さいたま市西区の富士包装資材で

 医療物資が足りないとSOSを受けたさいたま市内の町工場二社が、急きょ代替品となるビニール製ガウンとフェースシールドを製作した。両社とも医療品とは無縁だったが仕上がりは上々。大型連休返上で工場を稼働させ、およそ三週間で発注元の県看護協会に納入できた。協会は「医療機関で十分使える仕様」と太鼓判を押す。(前田朋子)
 ガウンは富士包装資材(西区)、フェースシールドはダイエー産業(岩槻区)が製作した。
 きっかけは、四月下旬に「正規品が入手できず、県に頼んでも下りてこない」と看護協会が市産業展開推進課に相談したこと。同課から依頼を受けた富士包装資材は梱包(こんぽう)材の商社だが、製造も手掛ける。石三(いしみ)重則社長(81)の長女で専務の平野京子さん(54)は、ちょうど防護服不足のニュースを見て「うちで作れそう」と考えていたところだった。
 スピード勝負のため、手持ちの〇・〇四五ミリ厚のポリエチレンで試作するとOKが出た。袖口にゴムを入れたアイデアも即採用。しかし、医療現場を思う協会の目は厳しく、「襟元を詰めて」「フードが必要」「顔は丸形に抜いて」と次々注文が寄せられた。作り直すこと三回。協会の松田久美子会長は「うるさい看護師の注文によく応えていただいた」と喜ぶ。
 採算を度外視し一着三百円強で納入したのは、二年前に大病で入院した石三さんの「看護師さんに恩返ししたい」との思いから。「自分が健康でいられるのは夜中も診ていただいたおかげ」とほほ笑んだ。

関根社長とフェースシールドの試作品=同市岩槻区のダイエー産業で

 フェースシールドを受注したダイエー産業は、手帳カバーやIDカードケースなどを主力商品とするプラスチック加工専門。「断らず、早い」がモットーの関根彰社長(53)は、依頼のあった翌日には硬質と軟質の塩ビを組み合わせた試作品を持ち込んだ。「とにかく早く」との注文で材料をかき集めたため、額に当てる部分のウレタンは園芸用品用を流用し、かえって通気性が向上した。
 関根さんは「社会の情勢に合ったものを考えるのが企業の責任。お役に立ててよかった」と話す。手帳を使う人が減っている中、次の主力商品になればと改良アイデアも次々に湧いている。今後は精肉加工会社やデパ地下向けに別仕様の製品を開発するという。
 今回の納入数はガウンが千枚、フェースシールドが千二百枚。さらに看護協会で試作品を見た人などからの発注もあり、互いの商品を紹介する機会も増えた。関根さんは「今後の仕事にも広がりが出る」と期待を寄せた。

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