トルコ当局がアフガン難民流入を警戒 国境の「壁」建設加速、兵士配備

2021年9月4日 21時48分
 アフガニスタン難民が流入するトルコ東部のイラン国境で、密入国を取り締まるトルコ当局と、それをかいくぐる難民のいたちごっこが続いている。トルコは国境沿いに壁の建設を進めるが、イスラム主義組織タリバンの政権発足が目前に迫ったアフガンからは、現在も難民たちがトルコを目指してパキスタンやイラン国内を移動中。今後もさらなる流入が予想される。(トルコ東部ワンで、蜘手美鶴、写真も)

トルコ東部ワンで25日、畑の中を移動するアフガニスタン難民=蜘手美鶴

 国境から西へ約100キロの町ワン。小麦畑が広がる緩やかな丘の上を、数十人のアフガン難民が小走りで移動していく。トルコ警察に見つかるため道路は避け、もっぱら人目のない畑や山の中を通る。アフガン北部の出身で、長女ビビアイシャちゃん(3つ)を背負って歩くムハンマド・ハサンさん(25)は「捕まって強制送還されないかが心配だ。米軍の撤退で(故郷に)タリバンが戻ってきた。もう帰る場所はない」と落ち着かない様子で話した。
 難民の流出はタリバンが攻勢を強めた6月ごろから増え、特に8月以降は急増。トルコまでは徒歩などで約1カ月かかるため、現在トルコ入りしているのは8月前半にアフガンを出発した難民が多い。首都カブールが陥落した15日前後にはさらに大勢が国を離れており、今後新たな難民の波が予想される。
 一方、トルコはすでに30万人のアフガン難民を抱える上、400万人近いシリア難民も社会問題化している。特にアフガン難民は若者の割合が高く、「仕事を取られるのでは」と懸念する声も強い。さらなる流入は防ぎたいのが実情で、トルコは今年に入り、不法入国のアフガン難民約1万3000人を母国に強制送還するなど、取り締まりを強めている。

トルコ東部で8月26日、対イラン国境沿いに建設が進む高さ3メートルの壁=蜘手美鶴撮影

 7月以降は、2016年から国境沿いで進める壁の建設作業を加速。高さ約3メートルのコンクリート製ブロックの上に有刺鉄線を張り、約500キロあるイラン国境のうち約160キロ分が完成したという。警戒のため、国境付近に兵士ら約2万人を配備している。
 トルコ情勢に詳しいカイロ在住のトルコ人評論家ジャウダット・カメル氏は「政府に対し、アフガン難民の流入阻止を求める社会的圧力が強い。壁の建設が流入を防げるかは疑問だが、本気で防ごうとするなら流血の事態も避けられない」と話す。

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