イギリス、スーパーなどで欠品深刻 コロナ禍でトラック運転手10万人超不足、配送停滞

2021年9月5日 20時00分
英ロンドン中心部のスーパーで2日、水などの欠品が目立つ飲み物の商品棚=藤沢有哉撮影

英ロンドン中心部のスーパーで2日、水などの欠品が目立つ飲み物の商品棚=藤沢有哉撮影

 【ロンドン=藤沢有哉】英国のスーパーマーケットで、食品類が欠品する店舗が相次いでいる。欧州連合(EU)離脱と新型コロナウイルス禍の影響で、商品などを運ぶトラック運転手に10万人超の不足が生じたためだ。業界団体は英国を去ったEU労働者を呼び戻すため、EU離脱で厳格化した移民制度の緩和を政府に求めている。
 「水が欲しいなら、他の店を回ってくれよ」
 9月上旬、ロンドン中心部のスーパーで店員に促された。「一部商品は手に入りません」との札が付いた飲み物、冷蔵食品の商品棚は空きが目立ち、水入りペットボトルは欠品。徒歩15分ほどの別の店舗も似た状況で、この店の店員は「足りない商品がいつ入荷するかは誰にも分からない。運んでくる人がいないんだから」と苦笑した。
 英BBC放送によると、一部パブではビールが不足し、ガソリンが届かずに閉鎖した給油所も。道路運送協会の調査では大型トラック運転手が10万人以上不足しているとされ、原材料や商品の供給が滞った。運転手不足の主な要因はEU離脱とコロナ禍だ。
 昨年1月末のEU離脱後、母国などとの自由移動廃止を嫌ったEU移民の英国離れが始まった。その後、欧州で最悪水準のコロナ禍で流出が加速した一方、大型トラックの運転免許取得試験の中止が続いて英国人運転手の育成も停滞。今年1月から単純労働者の就労ビザ取得が原則厳格化されたため、EU側から運転手を呼び戻すのも難しい状況だ。
 物流業界団体「ロジスティクスUK」などは、EU市民の運転手約2万5000人が英国を去ったと推定。運転手呼び戻しへ短期就労ビザ制度を設けるよう要望する。ただ、自国民の運転手育成を目指す英政府は免許取得試験の拡充などに応じるにとどまり、運転手確保のため給与の大幅引き上げに踏み切る企業が相次いでいる。
 食品の取引・製造に携わる企業団体のアンドルー・カイク事務局長は「クリスマスに向けて需要が高まる時期に入ることもあり、一部商品の不足は続くだろうし、(輸送コスト上昇で)値上がりの恐れもある」と分析。「新規のトラック運転手には採用後に数カ月の訓練が必要で、当座をしのぐにはEU労働者を呼び戻すしかない」と指摘した。

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