東京オリパラ閉幕 コロナの影響、無観客の誤算…残った課題は?

2021年9月6日 06時00分

無観客で開催された閉会式

 東京パラリンピックは5日に閉幕し、東京五輪とともに招致決定以来、準備に8年をかけた巨大イベントが終わった。国際パラリンピック委員会(IPC)は成功を強調したが、新型コロナウイルスの感染拡大への影響や、無観客に伴い赤字が見込まれる収支などは不透明なままだ。強い批判の中で開催された東京大会は、検証すべき多くの課題が残されている。(原田遼)

◆「入院5人」は全体の一部

 「本当に開催できるのかという事前の見方もあったが、開催は正しかった」。5日の記者会見で、IPCのパーソンズ会長は誇らしげに語った。
 五輪も含めて最大の懸念はコロナ対策だった。選手・関係者の陽性者は五輪で552人、パラで308人。うち入院に至ったのはそれぞれ3人と2人で重症例はなかったとされる。
 ただ、大会組織委員会が入院例として公表する対象は、選手と来日して14日以内の海外関係者のみ。陽性者の大半を占める国内の出入り業者や長期滞在中の海外関係者について、組織委は「容体の変化まで全てを承知できない」としており、地域医療への影響は完全には把握できていない。
 学校連携観戦プログラムでは、千葉市の中学校から生徒の観戦を引率した教員2人の感染が発覚。その後同じ学校から生徒2人の感染も分かったが、この2人が観戦に参加したかどうかは公表されなかった。
 組織委に助言する専門家組織メンバーで、国立感染症研究所の斎藤智也・感染症危機管理研究センター長は3日の会見で、「この夏の流行に大会がどのように影響したか、いろいろな面から精査が必要」と指摘した。

◆差別発言、弁当廃棄…救いは選手の奮闘

 「復興」「持続可能性」「多様性と調和」などの大会意義に反する現実も明らかになった。東日本大震災被災地が受ける風評被害の払拭ふっしょくが期待されながら、選手村食堂では産地表示がなかった。持続可能性を巡っても、五輪期間中に少なくとも13万食のスタッフ用弁当を廃棄。五輪後にマスク660箱(一箱50枚入り)など医療備品が捨てられたことも分かった。
 大会前には森喜朗・前組織委会長の女性蔑視発言や式典演出家の過去の差別などで、開催の機運に水を差した。選手の奮闘で、パラ競技の魅力が世間に広がったことが救いだった。

◆「チケット収入900億円」の大半失う

 ほとんどの会場で無観客開催となり、チケット収入として見込んでいた900億円の大半を失った。今後に精査される収支は赤字が見込まれ、国と都で補塡ほてんの割合を協議する。
 共同通信の世論調査では「開催してよかった」が五輪で62.9%、パラで69.8%となった一方、「よくなかった」は30.8%と26.3%で、批判を打ち消すことはできなかった。
 組織委の橋本聖子会長は5日の会見で「厳しい声があったからこそ、理解してもらうための努力ができた。コロナの検証も含め、今後の処理、振る舞いが重要。(組織委は)次の局面に入った」と語った。

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