「多様性と調和」実現に向け、バトンは託された…東京パラリンピックが閉幕

2021年9月5日 22時19分

閉会式に臨む日本選手団ら

 「多様性と調和」をうたう東京パラリンピックが五日に閉幕し、新型コロナウイルス禍の中で、開催に強い批判があった東京五輪・パラ大会は全日程を終えた。選手たちの躍動する姿を胸に刻み、一人一人の違いを認め合い、支え合う社会の実現に向けて私たちに何ができるのか。バトンは託された。(原田遼、小野沢健太)

◆アフガンの選手2人も国旗振って

 閉会式では「全ての違いが輝く街」をテーマにして、オーディションで選ばれた障害者らが個性あふれた音楽やダンスを披露。参加した約2000人の選手らとともに多様性のある未来の実現を願った。
 開会式と違い、選手がフィールドに着席した状態で始まった閉会式。選手は開会の10分前から自然発生的に手拍子をするなどし、13日間の健闘をたたえ合った。冒頭に花火が打ち上がると、選手たちから大きな歓声が上がった。
 オープニングでは義手のギタリストや視覚障害のあるダンサーらがダイナミックなステージを展開し、選手たちは興奮気味に写真に収めていた。

閉会式で国旗を持って入場するアフガニスタンの選手2人

 選手団旗入場では、日本選手団は卓球男子の岩渕幸洋選手が日の丸を持った。政情不安から1度は来日を断念しながらも参加が実現したアフガニスタンは、陸上男子のホサイン・ラスーリ選手と、テコンドー女子ザキア・フダダディ選手が登場。母国の平和を祈るように国旗を振った。
 フィールドではビルや橋など東京の街を表現した模造物を配置。それぞれの旗手が「輝き」の象徴として鏡を手渡され、それを円錐の模造物に張り付けて「東京スカイツリー」を完成させた。
 パラリンピック旗は東京都の小池百合子知事から3年後の開催地パリのイダルゴ市長に手渡された。大会組織委員会の橋本聖子会長は「パラリンピアンの姿に多くの人が、ここから何かを始めようと思った。互いの違いを認め、支えあい、いかなる差別も障壁もない、多様性と調和が実現した未来を必ずつくる」とあいさつした。

大勢の人がスタジアム周辺に集まる中、打ち上げられた東京パラリンピック閉会式の花火=5日午後8時11分、東京都渋谷区で

◆「名残惜しい」「人が多すぎて怖い」

 閉会式が始まった5日午後8時、国立競技場周辺の歩道は見物人で埋めつくされていた。花火が打ち上がると「わぁ」と歓声が上がり、一斉にスマートフォンをかざして撮影していた。
 視覚障害があり、白杖を手に訪れた東京都足立区の無職縫田政広さん(54)は「名残惜しくて、つい来てしまった。障害があっても一生懸命に競技する様子を中継で聞き、とても元気をもらった。無観客でも、開催してもらってありがたかった」と感慨深そうだった。
 奈良県の会社員女性(50)は「陸上競技のチケットが当たっていたので、無観客は残念。人が多すぎて『密』が怖い」と、集団から離れていた。
 競技場近くのJR千駄ケ谷駅前では抗議行動もあり、警察官ともみ合う場面も見られた。プラカードを持った東京都江東区の大学院生の男性(34)は「コロナ禍でも強行して感染者が急増し、多くの人の命を危険にさらした。許されない」と憤った。

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